文|log 二十三夜(小十→政) 雲一つない秋晴れの今日なら、中天にかかる明月を見れそうな気がした。 だから、今日は月見でもしようかと思い、縁側に一人。 久しぶりにゆっくりと酒を飲みつつ月が出るのを待っていると、後ろから声がした。 「月見か?小十郎」 そう言って貴方は、私の隣に腰を降ろした。 そのまま二人、酒を酌み交わす。 そうして数刻。日付が変わる。下弦の月は姿を現した。 やはり今日の月は冴え渡る蒼い光。 月を見て、貴方を見て。 「月、綺麗ですね」 ああ、そうだ。今日は二十三夜。月待もしたのです。 願いよ、届け。 そう思いながら紡いだ言葉。 思いがが伝わったのかは定かではないが、 貴方は俺に微笑んだ。 ××× 陰暦二十三日のこと。この日に月待をすると願いが叶う、という信仰があったらしい。 伝えてはならない想いを込めて「今宵は月が綺麗ですね」。ちょっと小十郎が乙女思考すぎる気がしてきた…(汗) |