文|log 心臓が蕩けるくらいの甘さを下さい(次富) ※一応ハロウィン 「おい、どういうことだよ」 背後にはひやりと壁の感触。逃げられないようにと、腕と体で退路を塞がれている。 追い詰める三之助の頭にはふさっとした耳が付いている。狼男。捕食者は、何食わぬ顔でこうのたまう。 「今日はハロウィンだから。トリックオアトリート」 「さっき飴やっただろ!」 「あ、これ?」 ポップな柄のキャンディをがさごそとポケットから取り出すと、さっさと包みを開く。綺麗な蜜色のそれを口に放り込むと、図々しくも右手を差し出してくる。 「ほらなくなった」 「一人一個だよ!」 「えー、けち」 「けち、じゃねぇ!」 唇を尖らせて不服そうにしている三之助の意図が、読めない。まさか俺を困らせるだけって訳はないだろう。 「お前、何がしたいんだよ…」 呆れたような声で、ため息とともに呟く。三之助はにやっと笑うと、左手で俺の顎を捉えた。 「じゃ、正直に白状するけど。最初から作ちゃんが目当て」 「、な」 なにを、と続くことばはまるごと飲み込まれた。 柔らかい唇同士の触れ合い。隙間からぬるりと舌が侵入してくる。あ、さっきの飴、林檎味だった。 搦め捕られる。掻き混ぜられる。三之助の接吻はいつもより激しくて、そして甘かった。 「…甘」 「お前が飴食ったからだろ」 ××× タイトルはカカリア様より拝借 いつものことですが、間に合ってません…。 |