帰ってきた豪炎寺修也の活躍より、ついにイプシロンに勝利した雷門イレブン達。己の敗北を受け入れられず、地面に膝をついたデザーム様に手を差しだしながら円堂守は言った。「地球では試合が終われば、敵も味方も関係ない」と。


「お前達がしていることは許せないけど、俺はサッカーの楽しさをお前達にもわかってほしいんだ。」


そんな円堂守の想いが漸く伝わったのか、デザーム様はフッと笑みを浮かべた。それは修兄さんがデザーム様になってから初めて見る、とても穏やかな表情であった。
そして、デザーム様は「次は必ず勝つ」と言い、円堂守と和解の握手をかわそうとした、……そのときだった。

突然、青い光が放たれる。その光源である人物は、とても冷ややかな声で言った。


「私はマスターチーム、ダイヤモンドダストを率いるガゼル…。」

「っ!」

「ガゼル様…!」


デザーム様が非常に焦った様子で、彼の名を口にする。……どうやら、次のお迎え役はガゼル様らしい。額に汗がにじむ。
ガゼル様は言った。今回の負けでイプシロンは完全に用済みであると。そして、彼が蹴った青と黒のエイリアボールは妖艶な光を放ちながら、イプシロンの元まで飛んでいく。

彼らが消されるのは一瞬だった。


「円堂守、キミと戦える日を楽しみにしている…。」


そして、ガゼル様もその言葉だけを残して、この場から去っていった。






それから、再びイナズマキャラバンに入った豪炎寺修也は、初対面の吹雪や立向居達とすぐに打ち解けていた。彼はクールで無口そうな印象だったため、なんだか意外である。

私はマネージャー達と一緒に彼らの練習風景を眺めていたけれど、彼のシュートは本当にすごかった。さすが、『炎のエースストライカー』と呼ばれているだけある。
なんていったって、立向居勇気の『ゴッドハンド』でも、デザーム様の『ドリルスマッシャー』でも止められない強力なシュートだ。あんなシュートが打てたら、きっと最高に楽しいんだろうな。

じっと見つめていたら、いつの間にか近くにいた浦部リカがニヤニヤした顔で話しかけてきた。


「なんやアンタ、あの豪炎寺修也って男が気になるんか?」

「…は?」

「アタシは良いと思うで。彼、サッカーめっちゃうまいし、顔もそこそこイケてるんとちゃう?まっ、ダーリンほどじゃないけどなぁ!」

「……。」

「無視かいな!」


ギャーギャー喚く浦部リカをとことん無視してやろうと決意し、私は木野さんから貰った沖縄特産のシークヮーサードリンクに口つけた。これは土方雷電の差し入れらしい。思っていた以上に酸っぱかったけど、慣れれば普通においしかった。
浦部リカが自称ダーリンである一之瀬一哉のもとへ行ってしまった後、隣に座っていた木野さんが、同じくドリンクを両手で持ちながら口を開いた。


「でも、本当に豪炎寺くんのこと、ずっと真剣に見てたわね。」

「…そんなに見てたか?」

「見てた見てた。」

「……、言っておくが、恋とかそういうのじゃないからな。」


「ただ、」と目を細める。
豪炎寺修也を見ていて思ったんだ。あんなすごいシュートなら、エイリア学園にも通用するかもしれないって。
だって、あのイプシロンにも勝ったんだ。他の雷門イレブン達も、どんどん力をつけていっているし、


このチームなら、もしかしたら本当にエイリア学園を……。


「……いや、なんでもない。」


そんなことを密かに期待してしまっている私は、もう既にエイリア学園を裏切っているんだろうな。



それでも、やっぱり期待したい



北海道や京都、沖縄などのいろいろな場所を旅してきて、久しぶりに稲妻町へとやってきた雷門イレブン達。瞳子姉さんの許可も出たので、彼らはそれぞれの家に一度帰ることになったのだが……。
目の前に青と黒のサッカーボールが突き刺さる。それは、エイリア学園ダイヤモンドダストからの挑戦状であった。
彼らはフットボールフロンティアスタジアムで待っているらしい。来なければ、このエイリアボールを無作為にこの東京に打ち込むと脅され、雷門イレブンは直ちに指定された場所へ向かうこととなった。

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