ああ、負けた。負けてしまった。
雷門イレブンに敗北した私達は、もうエイリア学園にはいられない。これで本当におしまいだ。

突然のイプシロンの登場に動揺する子供達。しっかりカメラに収めなくては、と慌ただしい報道員達。ざわめく人間達を見ても、何一つ感情が揺らぐことはない。もう全てがどうでもよかった。
遠くでデザーム様が私の名前を呼んだ。ゆっくり顔を上げれば、デザーム様の赤い眼が私を射抜く。一体、今の私はどんな表情をしているんだろうか。デザーム様は、にやりと口角を上げると、咎めるような冷たい口調で言った。


『無様だぞ、ジュピター。』

「デザーム様…。」

『覚悟はできているな?お前達、ジェミニストームを追放する。』


赤い稲光を纏うエイリアボールが、デザーム様によって蹴り上げられる。そして、瞬く間にそのボールは私達の元へと飛ばされた。ボールから放たれた妖艶な赤い光に視界が眩む。ああ、なんて呆気ない最後なんだ。

私はこのまま光に包まれて、消えてしまうのだろうか。……嫌だ。怖い。独りぼっちにしないでほしい。恐怖で身体が動かない。

お願い、誰か助けて。
お父さん、瞳子姉さん、ヒロト…!


突然、背中に強い衝撃を受けた。


「っ!?」

「うわっと…!」


バランスを崩した私は、少し離れたところに立っていた雷門イレブンのキャプテン、円堂守によって抱き留められる。一体なんだと振り返れば、私の背中を押したと思われるディアムが、真剣な目で私を見つめていた。


「…ディアム?」

「俺達は、人間に負けた。あの人はきっと俺達に失望したし、もう仲間とは見なされないだろう。何もかもを失ったんだ、俺達は。」

「っ、」

「…だから、さ。全てを失った今、怖いもんなんてないだろ?」


ディアムの言葉に目を見開く。何も言えず硬直する私に、ディアムはフッと笑って、そのまま光の中へと消えていった。


「なんだよ、それ…!」


昨日ディアムと交わした会話がフラッシュバックする。


「俺は、ジュピター様は地球侵略など絶対に許さない人だと思っていました。きっと瞳子姉さんみたいに、例え父さんや俺達と戦うことになろうとも、侵略計画を阻止しようとするって。」

「……私は、お前が思っているより強い人間じゃない。」

「私はみんなから嫌われる存在になりたくなかった。独りぼっちは嫌なんだ。例え、宇宙人になってしまっても、地球を侵略することになっても、私はーーー」



『全てを失った今、怖いもんなんてないだろ?』


ディアムは、私にお父さんやグラン様達を裏切れって言うの?



覆された運命



瞳子姉さんが警察や政府をどう言って丸め込んだのかはわからないが、私は捕虜として捕まり、瞳子姉さんの監視下のもとイナズマキャラバンに乗車することになった。

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