家庭教師ヒットマンREBORN!! | ナノ

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「ちゃおっス。」

「ちーす。」



登校中、突然現れた赤ん坊の家庭教師様は、その可愛らしい容姿にそぐわない不敵な笑みを浮かべていて、朝から何やら楽しそうだ。
一体今回は何を企んでいるのやら。ほぼ100%巻き込まれるであろう美奈子に、私は同情の念を抱いた。まあ、引っ込み思案なあの子には、このくらい振り回してくれる方がちょうどいいのかもね。



「それで、私に何かご用?」



大事な生徒を放ったらかしにして、わざわざ私に会いに来たのには、もちろん理由があるんでしょう。にっこりと笑顔で尋ねれば、リボーンはフッと口角を上げ、直球かつ簡潔に用件を伝えた。



「雲雀恭弥の情報を売ってくれ。」

「あら、ついに並盛中うちの風紀委員長も目をつけられちゃったかー。」



ということは近々、風紀委員長と美奈子達がバトることになるわね。この家庭教師様の暗躍によって。



「あんまり、あの子に怪我させないでよね?」

「善処するぞ。」



マフィアは女に優しい、という話は嘘だったのか。相変わらず容赦のない家庭教師様に、私は苦笑を浮かべる。……とりあえず、美奈子達がプールに飛び込むことを想定して、タオルの準備くらいはしといてあげましょうかね。

雲雀恭弥の情報をわたす代わりに、ナミモリーヌのケーキを5個要求すると、リボーンは「…太るぞ」と呆れ顔で呟いた。うるさいわね、食べた分ちゃんと動くから良いのよ!





雲雀恭弥





「ふぁ、ファミリーのアジトを作る…!?」



先生から呼び出しを食らって(どうやら、先週受けた数学テストの点が1桁台だったのは私だけらしい。たくさん補習プリントを頂いた)すっかり遅くなってしまった私は、お弁当を片手に屋上へと続く階段を駆け上がっていた。
山本と獄寺くんには先に食べててと伝えておいたけど、あの二人のことだ。きっと私が来るのを食べずに待ってくれているに違いない。急がなくっちゃ…!

そうして、ようやく屋上へと辿り着いたとき、あの黒いスーツを着こなした悪魔のような赤ん坊が突然目の前に現れて、開口一番に言ったのだ、「ファミリーのアジトを作るぞ」と。

学校には来ないでっていつも言ってるでしょ!?とか、その栗をモチーフにしたスーツのトゲが痛そうだから近寄らないで!とか、いろいろ言いたかったことはあったけれど、それらを全て飲み込んだ私は、彼の言葉を恐る恐る復唱する。その顔は既に蒼白だった。



(つ、ついに……恐れていたこの日が……!)



10年以上の年月が経ち、だいぶ薄れてしまった前世の記憶だけど、それでもこの話はインパクトが大きかったからよく覚えている。
当然だ。だって、あの泣く子も黙る並盛最強の風紀委員長、雲雀恭弥の初登場回だもの!!!

そろそろ来るんじゃないかって警戒してたけど、それがまさか今日だったなんて、どうしよう優花ちゃん…!


今から応接室へ向かうよう指示するリボーンに、私はやだやだと首を振り、全力で拒否する。私、知ってるんだからね?!応接室は2学期から風紀委員会が使ってるんだってこと!そこで私たちと風紀委員長を鉢合わせるつもりなんでしょ!?
そんな危険な場所、絶対に行くもんか!と決意を固めていると、リボーンが第二の爆弾を投下した。



「山本と獄寺には先に向かわせたぞ。」



そ れ を は や く い っ て


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