家庭教師ヒットマンREBORN!! | ナノ

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「10代目!」

「っわ、ご、獄寺くん!な、なに…?」

「一緒に昼飯食いましょう!」


「「「「は!?!?」」」」

「……え、」



4時間目の授業が終わると、真っ先に美奈子の元へ駆け寄ってきた獄寺は、コンビニの袋を片手にそう言った。

それを聞いていたクラスメート達は「え、なんで沢田と?」「二人は一体どういう関係なの?」とざわめきだす。まあ、皆が驚くのも無理はない。
だって、あのダメミナと名高い美奈子と、最近転校してきた見るからに不良の獄寺が仲良さげ(獄寺の一方通行)に話しているなんて違和感しかないもんね。…まあ、これがその内、日常的な光景になっていくんだけど。


いつもなら各自わいわいと昼食を取りだすクラスメート達だけど、やっぱり美奈子達が気になるのか。誰も席から動こうとせず、そちらに視線を向けている。…あーあ。かわいそうに、美奈子ったらあんなに目立っちゃって。
獄寺からの突然のお誘いと周りから突き刺さるいくつもの視線に戸惑い、あたふたしている美奈子に、私は同情の目を向けた。


まあ同情はするけど、助けに行く気のない薄情者の私は、いつものように京子と机を向かい合わせにして、そこでお弁当を食べ始める。さっさと食べなきゃ、私の貴重なランチタイムが終わっちゃうからね。
唐揚げをモグモグ食べる私に、京子は「優花は本当においしそうに食べるよね。」と言って微笑んだ。ああ、癒される。京子は私の癒しのオアシスだわ。

私が弁当と京子を満喫している最中、美奈子にまた新たなお誘いの声がかかった。



「お、そんなら俺もいいか?」

「っ!や、山本。」


「「「「!?」」」」



その人物を目にしたクラスメート達はさらに目を丸くし、ざわめきだす。次に美奈子に声をかけたのは、あのクラスの人気者の山本だったからだ。…まあ、そうなるわよね。
「今度は山本かよ!」「この三人はどういう関係なの?!」とクラスメート達が困惑する中、山本はニカッと人好きのする笑みを浮かべて言った。



「屋上行こーぜ。青空の下で食べる弁当ってうまいからさ。」

「チッ、勝手に決めてんじゃねぇ!野球バカ!」

「ご、獄寺くん…!」



美奈子のときとは大違いで、山本に対しては敵意剥き出しの獄寺に、冷や汗を浮かべたのは山本ではなく美奈子の方だった。
こんなところで喧嘩なんて始められたら、さらに目立ってしまうと考えたんだろう。美奈子はぎこちない笑みを浮かべながら口を開いた。



「わ、私も屋上で食べたい気分、だから……行こう、屋上!」

「10代目がそう仰るなら…。」

「うっし、決まりな!」



一刻も早くここから立ち去りたい!!!

そんな美奈子の必死な思いが伝わったわけではないだろうけど、とりあえず屋上に移動することになったみたいだ。ほっと胸を撫で下ろした美奈子は、何だか言うことの利かない子供をやっと説得したお母さんみたいに見えた。かわいそうに。



(でも、あの子……私が誘っても遠慮して、いつも一人で食べてたから。良かった、一緒にお弁当を食べるような友達ができて。)



私がフッと笑みをこぼすと、京子は不思議そうに首を傾げた。

そうして、美奈子達は自分の昼食を各自片手に持つと、屋上へ向かうため教室をあとにした。廊下に続く教室の扉がピシャリと閉められるまで、呆然とその奇妙な三人組を眺めていたクラスメート達は、ちょっとおもしろかったな〜。まあ、でもすぐに見慣れるようになるでしょう。
目の前でニコニコ笑みを浮かべていた京子は「ミナちゃん達、仲が良いのね」と相変わらずの天然を発揮していた。

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