家庭教師ヒットマンREBORN!! | ナノ

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「起きろ、美奈子。朝だぞ。」

「…んー……あと、5分……」


「仕方ない。ボンゴレファミリー伝統のお目覚め方をやるか。3、2、1……」


ピタッ


「っぎゃあああああああ!!!?」

「お目覚めか。」


「り、リボーン!起こすのにいちいち、心臓に電気ショック与えないでよ!」

「良かったな、無事目が覚めて。たまにそれっきり目覚めない奴もいるからな。」

「……それ絶対、ショック死してるんだよ。」



リボーンの起こし方に顔を青褪めながら、美奈子はベッドから起き上がった。このまま寝ていたら、待っているのは死、のみだ。こんなところで死ぬわけにはいかない。



「というかお前、そんな流暢に話せたのか。」

「へっ?!あっ…家族とか、親しい人には話せるよ。リボーンとも…結構普通に話せる、かも。」

「そうか。」



リボーンはフッと口元をゆるめる。そして、どこからかスケジュール帳を取り出して、美奈子に見せた。
 


「今日の予定だぞ。」

「予定?……朝、転校生の紹介。それから球技大会。卓球は午後から。……あっ!そうだ。卓球!!!」

「まさか、俺が手を加えなくても選手に抜擢されるとはな。さすが、俺の生徒だぞ。」

「ど、どどどうしよ…っ」



美奈子が頭を抱え込む。球技が大の苦手である彼女は、未だに腹を括れずにいた。

何とかならないかな?!とリボーンに救いを求めるダメミナに、リボーンは「これも、ミナを立派なボンゴレファミリー10代目のボスにするためだぞ」と言って、彼女を平然と突き放すのだった。




球技大会




「転校生を紹介する。イタリアに留学していた獄寺隼人くんだ。」



ざわっ


「ちょっと!超格好良くない?!」

「おまけに帰国子女よ!」


(わわわ、獄寺くんだ!本物!!)



今朝、リボーンから転校生が来ることを聞いていた美奈子は、その転校生が"あの獄寺隼人"だということに勘付いていた。もちろん、優花も同じだ。

赤Tシャツに、首から下げるネックレス。銀髪、鋭い目付き……明らかに不良の見た目をした彼は、その整った綺麗な顔立ちで、多くの女子達のハートを一瞬にして奪っていた。



そして、



(ヒィッ!や、やっぱり……私睨まれてる!!!)



ボンゴレ10代目ボス候補である沢田美奈子に、殺意のこもった目を向ける獄寺隼人。彼が日本に来た目的は、彼女が10代目になる人物としてふさわしいかどうか見極めるためなのだ。

ツナのように机を蹴り飛ばされることはなかったが、その後のSHRの時間も、美奈子はずっと殺気を感じていた。


予想はしていたものの、実際こうもずっと睨まれ続けるのは精神的につらい。美奈子は目に涙を浮かべ、助けを求めるように優花の方を見た。しかし、優花は「(ファ・イ・ト!)」と口を動かすだけで、決して助けてはくれなかった。



(うう……獄寺くんめちゃくちゃ怖いよぉ…。)


ポンッ


「っ!!!」


「よお、沢田。」

「…や、山本……くん。」

「ハハッ、呼び捨てでいーぜ?なんかそっちの方がしっくりくるし。」



SHR後。球技大会の開会式を行うため、生徒達は校庭へと移動しはじめる。そんな中、美奈子に声をかけてきたのは、クラスの人気者であり、卓球ダブルスでペアを組むことになった山本武だった。

彼は朝から爽やかな笑みを浮かべて言った。



「今日は一緒に頑張ろうぜ。」

「…う、うん。頑張る、けど……っで、でも……私、球技とか本当に全然ダメで…。その、すごい足……引っ張っちゃうと、思うの。」


「ああ、大丈夫だって!俺がちゃんとフォローしてやっから。沢田はもっと肩の力を抜いて、落ち着いていこうぜ。な?」

「あ……う、うん。そう、だね……。」


「そんじゃ、また後でな!」



変わらず、爽やかな風を吹かせながら去っていく山本の後ろ姿を、美奈子は困惑した表情を浮かべながら見送った。

着々と迫っている試合に不安が募る。どうしようと悩んでも、解決策は何も浮かんでこなかった。



「……もう。こうなったら、」

「”逃げ出すしかないとミナは思った”。」

「うん。それしかない…!」

「”だけど、そんなことしたら自分のことを気にかけ、優しい言葉をくれた山本を裏切ることになる”。」

「問題はそこなんだよね……って、リボーン?!」

「ミナの心の声だぞ。」



いつの間にか肩に乗っていたリボーンは、メガホンを片手にそう言った。
「わざわざ声に出して言わなくていいよ!」と美奈子が涙目で叫ぶと、リボーンは肩から飛び降り、華麗に地面へ着地してから言った。



「女なら、逃げるより死を選べ。」

「そ、そんな無責任な…!他人事だと思って…っ」

「やるだけやって力尽きた者を、笑う奴はいないぞ。」

「……っ、」



リボーンはそれだけ言うと、またどこかへ行ってしまった。なぜ、リボーンが学校にいるのかとツッコミを入れる余裕もなく、美奈子は誰もいない廊下で1人立ち尽くした。


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