初恋のきみ


「なになに、裕くんって良ちゃんの知り合いなの?」

「中学のときの同級生なんだ。あ、小学校もおんなじか。日比谷が途中で引っ越しちゃってそれきりだったんだけど……戻ってきてたんだ?」

「いや、あの、」

「やだ〜!もしかして付き合ってたの?運命の再開ってやつ〜?!」

「ちょっ、違うから恵太さん!」

「こわ〜い。それより座りなさいよ、良ちゃん」

「う、うん……」



約八年間だ。

愛知の高校に入学し、東京に戻って大学に進学し、そこそこの職につけた今までの約八年間。

俺はあっちの学校で彼女もできたし、仕事は大変だけど自分なりに上司とも上手くやっているつもりだった。それでもストレスが溜まったときは息抜きにこうして酒を飲みに訪れて。



「日比谷って、そっち系なの?」

「そっち系というのは……」

「ゲイに決まってんじゃん。ゲイバーに来てて何言ってんの」

「……」


だいぶ背が伸びたなとか、懐かしい髪色だなとか、やっぱり肌が白いままだなとか、思うことは沢山あったけれど、それ以上に性格がやさぐれた気がする。



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