雨が止んだなら
「……散々言われちまったな」
真守が小さく呟いた。
「……うん」
「お前、同性愛者だったの」
「ど、同性愛者というか、桑原さんが好きというか……」
「どっちにしろホモじゃん」
言葉を失って黙り込んだ。ズキズキと胸が痛む。
「……年上で、優しくて、美人な人?」
「え」
「お前が凄い悩むくらい好きな人」
隣の真守がケラケラと歯を見せて笑った。
「う、うん」
「まさか涼太にそんな趣味があったとはな〜。年上が好きなんじゃなくて男が好きか」
「どう馬鹿にしてもいいよ。聞いて欲しかっただけだからさ。……ネタにしても構わない」
俯いたままの俺の頭を思い切り叩かれた。
鈍い音が響きジンジンと痛む。
「ばっかじゃねえの、ネタになんかしねーよ!……そんなん言って、大切な友達が虐められたりしたらどうすんだよ」
「真守……っ」
「正直めちゃくちゃ驚いたよ。でもよく分からないんだよな、そういうの。目の前でイチャイチャしてるところ見せられてるわけじゃねえし、好きでいるぐらい良いんじゃねえの」
「……ありがとう、真守」
「今日はそればっかりだな」
「本当だね。……桑原さんのことは、もう少しちゃんと考えてみる」
彼は何も言わなかったけれど、頷いているようにも思えた。
そよそよと涼し気な風が吹き髪を靡かせる。
遠くから中村たちがやって来て、そろそろ解散するか、と手を振った。
- 64 -
[ TOP ]
[*前] | [次#]
ページ: