雨が止んだなら


「……散々言われちまったな」


真守が小さく呟いた。


「……うん」

「お前、同性愛者だったの」

「ど、同性愛者というか、桑原さんが好きというか……」

「どっちにしろホモじゃん」


言葉を失って黙り込んだ。ズキズキと胸が痛む。


「……年上で、優しくて、美人な人?」

「え」

「お前が凄い悩むくらい好きな人」


隣の真守がケラケラと歯を見せて笑った。


「う、うん」

「まさか涼太にそんな趣味があったとはな〜。年上が好きなんじゃなくて男が好きか」

「どう馬鹿にしてもいいよ。聞いて欲しかっただけだからさ。……ネタにしても構わない」


俯いたままの俺の頭を思い切り叩かれた。
鈍い音が響きジンジンと痛む。


「ばっかじゃねえの、ネタになんかしねーよ!……そんなん言って、大切な友達が虐められたりしたらどうすんだよ」

「真守……っ」

「正直めちゃくちゃ驚いたよ。でもよく分からないんだよな、そういうの。目の前でイチャイチャしてるところ見せられてるわけじゃねえし、好きでいるぐらい良いんじゃねえの」

「……ありがとう、真守」

「今日はそればっかりだな」

「本当だね。……桑原さんのことは、もう少しちゃんと考えてみる」


彼は何も言わなかったけれど、頷いているようにも思えた。


そよそよと涼し気な風が吹き髪を靡かせる。

遠くから中村たちがやって来て、そろそろ解散するか、と手を振った。




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