心が、叫んでる
うん、ここでの生活にも慣れてきた。もう一人で城内だって歩けるし、ご飯だってちゃんと運べる。…幸村さまの部屋にだって、迷わず行けるようになった。
「幸村さま…」
「あっれー?なにやってんの、」
「…出た!猿飛佐助!」
「出たってなに、出たって。化け物みたいに」
化け物よ、と呟いた声は聞こえてたみたいで(この地獄耳め)張り付いたような笑顔とちらっと見えたクナイが異常に怖かった。
「そうだ、旦那が呼んでたよ」
「うそ!幸村さまが?」
「団子、一緒に食べませんかって」
「…うそ」
まさか幸村さまが甘味を食べるのを誘ってくれるなんて思いもしなかった。これは嬉しすぎる、
「い、いってきます!」
「…うん」
着物を着ているとは思えないほど速いスピードで走っていき、もう廊下の端を曲がっていた。
「、あーあ」
一人たたずむ佐助が呟いた声を、今度は誰も聞くことはなかった。
「ゆき、むらさま!」
「おお、来てくださったか!」
わたしは女中なのにまだ丁寧な言葉を使う幸村さまにちょっと苦笑いしながら、幸村さまが用意してくださった座布団に座った。
「わざわざ呼んでしまって、申し訳ない」
「い、いえ!嬉しい、です」
よかった、と笑う幸村さまはやっぱりかっこよくて輝いていた。
「いま、団子を持ってこさせよう」
そう言ったときには、もう襖をあけてなぜか猿飛佐助がいた。あれ…普通は女中の人じゃない?
「持ってきましたよ、」
「なんで…」
「…うーん、こういうことする女中の人がお団子食べようとしてるからじゃない?」
…なんていう嫌味なやつなんだ。
「佐助、」
「いいんです、幸村さま」
「何がいいの、俺様忙しいんだけど」
「…、」
「あーあ、いいよね。こんなとこで大好きな人とお茶できて」
「佐助?」
その瞬間に部屋中に乾いた音が響いた。
「、さいってい」
その後、部屋に残ったのは襖を開けて走り去る音と、呆然とする幸村と、頬を赤くした佐助だった。
「…俺、最低だ」
打たれた頬は、予想以上に痛かった。
心が、叫んでる
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拍手連載二回目です!
佐助さん、うわあ←