スターチス



今でも、わたしはあなたがすきです。心がはり裂けそうなくらい想っています。思い出すと、まだ涙はでてしまうけど。今、わたしはなんとか笑っています。


あなたと初めて出会ったのは、雪の降る、寒い寒い日でした。


「あなたの婚約者よ、ローズ」


突然告げられた、私の婚約者。社交界の華やかな雰囲気にあった豪華な服や、豪華な飾りが私の目をチカチカさせていて全く状況についていけてなかった。まあ、突然告げられたから最初からついていけてなかったんだけど。

相手の方は純血主義の由緒正しき家、ブラック家。純血の頂点に立つようなお方たちで、私の家に比べると全く位が違う。

前を見ると、二人の端正な顔つきの人たち。一人は不機嫌の顔をしていて、もう一人は無表情のような笑顔のような。…二人とも知っていた。私が通っているホグワーツの、生徒だから。

レギュラス・ブラックと、シリウス・ブラック…

レギュラスは同じ寮で後輩だけど、一度も話した事がなかったけど。そしてシリウスは純血家系なのにグリフィンドールに入って、悪戯ばっかりしてるのにすごく成績がいい。綺麗な顔してるから、学校中の女子が騒いでる。

そしてシリウスは…私の、好きな人。身分違いなんて分かってた。彼が純血を嫌ってることも知っていた。けど、彼が…好きだった。それでこの状況って…。え、待って…私シリウスと婚約するの?ちょっと、まだ心の準備が…!


「私っ…」

「あなたの婚約者になる、レギュラス・ブラックさんよ。」


にこっと、レギュラスくんが笑った瞬間に…心の中で音を立てて何かが崩れた気がした。今まで抱いてきた甘い夢とか憧れとかは一瞬でなくなって。

「こんにちは、ローズさん」

婚約者はシリウスじゃなくて弟のレギュラスだった。伝えられたことに涙がでそうで、けどこんなところで泣くわけにはいかない。レギュラスは薄い唇にうっすらと笑みを浮かべて、相変わらずシリウスは不機嫌そうな顔をしていて。

ただただ、親の話し声とゆったりとした音楽が耳を通り抜けていた。




Statice


(あなたを想って)(何度、涙をながしたことでしょうか、)

(花言葉:変わらぬ心)