出会った同じ気持ち




「どうも、こんなところでお会いするなんて思いませんでした」


父に見せられた写真で一度しか見たことがない少年は、うるさく心臓が鳴っている私とは違って冷静にそう言い放った。灰色がかった目に真っ直ぐと見つめられて、何も言葉を返すことができない。こんなに、シリウスと同じ目をしているのに彼の目は深い暗闇をあらわしているようで。

「こんなところで、何か用事ですか?」
「あ、いや…ただの、散歩で。…そちらは、」
「僕は本当に散歩ですが…僕の記憶ですと、あなたの家はかなり遠くだった気がするんですが」
「私の、家知ってるんですか?」
「あなたの家ほど有名なところはありませんから」


一つ一つの言葉が私よりも随分大人びていて、本当に年下なのだろうかと疑ってしまうくらいだ。


「しかし、会ったこともないのに婚約なんてまったく自分の親ながら呆れます」
「え…?」
「そう思いませんか?当事者の意見なんかまるで無視です」


表情一つ変えずに淡々と話していくレギュラスに、ただただ驚いた。まるで私の心の中を全てさらけ出してくれているみたいだったから。


「…で、ですよね!私たちまだまだ子供なのに、婚約だなんて」
「本当に呆れます。僕たちは人形じゃありません」


あんなに頑なに閉じ込めてあった心の中は、一度言ってしまうと止まることを知らなくて。さっきまで悩んでいたどうやって帰ろうとか、ここはどこなんだろう、なんて今ではすっかり忘れてしまいくらい時間を忘れて話し込んでいた。


「初めて、言いました。こんなこと」
「…実は、私もです」
「だと思ったから、話したんです」
「どうして…?」

「兄から、フィレイフィス家の娘がグリフィンドールに入ったと聞いて。しかもその人とまさかの婚約。これは会って話すしかないと思いました」


すっかり暗くなった空に綺麗な星空が輝いていて。その星を瞳に映して話すレギュラスを見て、泣きそうになった。初対面なのに、こんなに心を許せてしまう人に初めて会ったから。ホグワーツの皆とは違う、シリウスとは違う、暖かさをレギュラスに感じた。


キラキラと輝る星空を二人で見上げる。弱い私たちには、この星空は綺麗すぎるみたいだ。