『もっと後継者らしく振る舞いなさい』
『本当にあの方の血が流れているのか?』
『こんな魔法も使えないなんて…くだらない』
やめて…
『本当に役立たずだな』
やめてよ、
『お前なんかフィレイフィス家の恥さらしだ!』
やめて!
「大丈夫?泣いてるの?どこか痛い?」
「何か辛いことがあったの?…傍にいるからいっぱい泣いていいよ!」
大人たちの罵倒と小さなあったかい手。それが私の小さい頃の記憶、
…そう私はサラザール・スリザリンの子孫らしい。純潔主義を貫いているこの家が、大っ嫌いだった。なにかにつけて純潔やら高貴やら。小さい頃からばかみたいって思ってきた。あの子に会うまで優しさなんて知らなかったんだ。
「では、ティアラ。ホグワーツでは高貴に、もちろんスリザリン寮以外は許さない」
父親の無表情な顔に何の感情も感じずキングスクロス駅の9と4分の3番線をを見渡す。今から娘や息子をホグワーツに送り出す親と子が涙を流しながら抱き合っている。あまりにも淡白な私達はその場にすごく不釣り合いだった。
汽笛の音が鳴り響き父は私の方を振り向くことなく駅を去っていった。
…少しでも寂しがってくれるかもなんて期待した私がばかだったかな、
そんな淡い期待を捨てて列車に乗り込んだ。
どこも満席で一番奥まできたときにようやく空席を発見できたときには電車に乗り込んでから結構時間が経っていた。そこには赤毛の緑の目が印象的な女の子がそわそわしながら窓の外をみている。
「あの、一緒に座ってもいいかしら?」
声をかけられた少女はびくっと肩を揺らしてティアラをみた。
「あ、ええ!もちろん!誰もいなくて寂しかったの!」
「ありがとう。私はティアラ・えっと…フィレイフィス。一年生なの、よろしく」
「私はリリー・エバンズよ!私も一年、よろしくね」
フィレイフィスの名前に反応しなかった所をみるとこの子はマグル出身なのだろう。そう輝くような笑顔を見てこの子は自分とは違うんだって思った。
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