こんな気持ちなのに今日も星が綺麗なんて。一度移動階段で皆とはぐれてしまい、時計棟の裏に迷い込んでしまった入学してから、つらくなったときにここに来ている。
「…これから、どうしよ」
ぽつりと呟いても、誰も答えはくれない。まあ、当たり前だけど。なんだかこんな状況なのに、意外と頭は冷静だ。ついに、一人になってしまったのに。…あれ、最初から居場所なんかなかったのに。
なにを期待してるんだ。
大きな時計の歯車と小さな歯車がゆっくりと回ってる。少し見上げると、小さな窓があいていた。冬の冷たい風がそこから吹き込んできて、ぐるぐるとした頭の中が冷静になってきた。こんなときに冷静になる頭なんて…やだな。どうせなら、なにも考えられないくらい混乱していたかった。
「あ…星、」
小さな窓から暗い空間に一筋の光がもれている。光の筋にほこりがきらめいて宝石みたいだった。
きらきらと輝く星が、滲んでいく。
「なん、で…涙がでるの…」
一度出てしまうともう止まらない。次々と溢れ出す涙は、頬をすぐに濡らしてしまう。
「シ、リ…ウス」
名前を呟いても返事はない。あの大好きな笑顔もみれない。頭を撫でてくれる大きな手もない。
家族に嫌われても我慢できた。いくら罵られても、耐えられた。でも、皆に嫌われることだけが怖かった。皆を嫌な気持ちにさせた自分が嫌だった。考えれば考えるほど、胸はぎゅう、って締め付けられて痛かった。いくら押さえても治らない痛み。
「ごめん、なさい…」
涙で前は見えないけど、目を閉じてもあの皆の顔は…消えることはなくはっきり見えていた。