「どうしてティアラが、その、ブロングと話しているの?」
ティアラがいつものように自分たちの席に来たときに、まず口を開いたのはジェームズだった。
「それは…クリスマス休暇の時に、知り合ったの」
「そういえばブロングも残り組だったね。それで?」
「え?それで、って?」
「それでブロングはどんな人?」
「…えーと、とても良い人よ。いろんな噂とか気にせずに話してくれるの。私に、普通の対応をしてくれた」
その一言にシリウスが持っていたフォークを床に落とす音が聞こえた。
「シリウ、」
「…もう授業が始まるよ。ティアラ、早く食べた方がいい」
リーマスの一声で、ティアラは急いでバスケットに入っていた小さなパンを一つとって口に詰め込んだ。
「…悪い、俺さきに行くわ」
「シリウス!」
シリウスが席を立って、それをジェームズが追いかけていく。そしてティアラが食べ終わったのを確認して、他の皆は授業に向かうことにした。
「シリウス…どうしたのかな、」
「ティアラ、急がないと本当に間に合わないよ」
ティアラの疑問には触れないように、リリーとリーマス、ピーターは廊下を進む。足早に進む歩みは止まることがなくて、もう飛行訓練の場所まで来ていた。
「あの、シリウス」
「ジェームズ、飛ぼうぜ」
準備をしていたシリウスに話かけると、シリウスはジェームズと空高く飛んでいってしまった。
「シリ、ウス」
「シリウスも子供なんだよ」
「リーマス」
シリウスが飛んでいってしまった方向を見上げていると箒の準備をし終えたリーマスが話しかけてきた。
「どういう、意味?」
「それは、」
そう言いかけた時、集合のホイッスルが鳴ってしった。結局、リーマスが言いたかったことは聞けないまま、何かが崩れていくような。そんな予感がした。