クリスマス休暇



冬がきた。学校の中は冬休みに皆がわくわくしている様子で、皆浮き足だった雰囲気だ。でも相変わらずジェームズとシリウスは悪戯ばっかりで、リーマスはそれを止めずに見てるし、ピーターはいつもおどおどしてる。リリーも変わらず優しくて綺麗だ。


皆、冬休み中に家に帰るために大きなトランクにたくさんの荷物をつめていた。…帰るために。私はあんな家に、帰るわけにはいかなくてホグワーツで過ごすことに決めたのだった。


「本当にいいの?私の家に来て一緒に過ごしましょう?」
「ううん、リリーは家族水入らずで過ごして!」
「絶対、絶対クリスマスにプレゼントをおくるわ!毎日手紙だって書く!」
「楽しみにしてるね」


そう言うとリリーが抱きついてきて最後まで悪戯の準備をしていたジェームズが羨ましい!と叫んでいた。時間になって皆が列車までの馬車に乗るためにぞくぞくと城を出ていく。


「じゃあ、ティアラ!風邪引かないように。絶対にプレゼント送るよ」
「よ、良いクリスマスを!」
「とっておきのチョコレートあげる。プレゼントも楽しみにしてて」
「寂しくなったらすぐに連絡して!帰ってくるから!」


ジェームズ、ピーター、リーマス、リリーが皆名残惜しそうに馬車に乗っていく。


「お前もジェームズの家に来ればいいのに。本当にいいのか?」
「大丈夫だよ!楽しんできて」


シリウスは家には帰らないらしく、ジェームズの家に滞在するらしい。皆、馬車に乗り込み発車した。皆が見えなくなるまで手をふって、自分も城に戻ることにした。


「一人でクリスマスを過ごすなんて、慣れてるじゃない」


読みかけの本だってある、魔法の予習や復習だってしなきゃ。宿題だってあるもの。クリスマスプレゼントだって、買わなきゃいけない。一人でも退屈せずに、過ごせるわ。大丈夫、一人でいつも、いたじゃない。

自分にそう言い聞かせて、なるべく皆を思い出さないように努めよう。


「明日からは、一人なのよ」


心に思っていたことを口に出すと、なぜか体の上におもりが乗ってきたみたいにもっと辛くなってしまった。皆と過ごすクリスマスはどれだけ楽しいか。…だめだめ。自分から断ったんじゃない。

今、歩いてきた道を振り返ると、雪が自分の足跡をもう消していて

まるで存在まで消されてるような気分だった。