シリウスが別れを告げてから、まったく関係がなくなった私たちは話すこともなくなった。ずきずき痛む胸を押さえながら、まだシリウスが好きなんだって思わされる。
「すき、…すきだよ」
何度繰り返しても伝わることのない思いが、涙になって溢れてくる。あなたから離れても、私はあなたから解放されてないよ、
暇つぶしだった?
それとも好きだった?
最後まで分からなかったシリウスの気持ちを考えるだけで、切なくなるんだよ。
「シリウスって、ついに本気で女の子と付き合ってるらしいわよ!」
大広間での食事中にたまたま聞こえてきた会話にひどく絶望を覚えた。
「シリウスが1年の頃から彼女のことが好きで、でも彼氏がいたから諦めていたんだって」
「じゃあ、その子が別れてシリウスと付き合い始めたってこと?」
そうね、なんて言って悔しがっている女の子たちを見つつ、もう何日も見ていなかったシリウスの方へ目を向けた。
「っ、…!」
そこにはシリウスと仲のよさそうに話す綺麗な女の子と、柔らかい笑顔で話すシリウスの姿があった。
もう、関係ない…のに。
『シリウスが1年の頃から彼女のことが好きで、でも彼氏がいたから諦めていたんだって』
この言葉がさっきから頭の中を離れなくて、もちろん私と付き合ってた時も好きだったんだよね…?
一度も好き、と言ってくれたことのないあなたの理由が分かった気がして、すっきりするはずが逆に辛くなって私はそのまま大広間をでて涙を流した。
「一人で、付き合えたことに喜んで…」
馬鹿みたい、そう呟いた言葉は誰に聞かれるわけでもなく消えていった。
(その未来の道は、初めから違う人の物だった)(愛されることを願って)(ただ、それだけで)