ああ、結局きみは自分が大切だったのね。


「ごめんな、シアラ!約束また今度でいいか?」


あれから毎日、就寝時間の前にあって話す約束きみは一度も守れてないの…気付いてる?


「うん…大丈夫、だよ」


笑顔を保ってきみに笑かける。私、笑えてるかな?


「…ごめんな」


お願いだから、謝らないで惨めに、なるから…


「明日は、必ず守るから…ごめんな」


君は守れない約束を作って今日もまた私と違う匂いのもとへいくの…



「はあ、」



何回目か分からないため息をついて帰りを待つのには慣れた。けどなかなか渇れてくれない涙には慣れなくて、こんなにまでシリウスを思っている私は馬鹿だと本気で思ってる。


「…はやく、解放して」



「…え、」



ポツリと呟いた言葉は甘ったるい匂いの君に、届いてしまったみたいで


「シアラ、」


切なそうに顔をしかめるあなたをみて、なぜだか泣きたくなった。


「ごめ…、忘れて…!」


涙で前がぼやけてるけど、今見たくないシリウスの顔だけははっきり見えてる。


「…違う、の!シリウス!」


私の無駄な弁解を遮ってシリウスは一言、


「ごめん、」


眉を下げて苦しそうに笑うシリウスはただ一言、謝った。


「もう別れるから、お前の最初で最後のわがまま…聞くよ」


今まで、ありがとう


そう言って私の横をすり抜けて男子寮に上がっていくシリウスは切なすぎて


「っ、」


ただ、その背中を見つめるしかできなかった。





(感謝も謝罪もいらなかったのに)(…今までを)(後悔にしないで、)







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