あれからシリウスにはあっていない。なんだか勝手にわたしがきまずくなってしまっている。会えないだけなのだけれど、今ではきみを見ると涙が出てしまうようになったから…

この恋に、はやく終止符を


「はやく、」


はやく別れを告げないと、心はもう君に依存してしまっているから。



はやく、 はやく、



シリウスにわたしから別れを告げる。あなたにとってはどうでもいい暇潰しからのささいなわがままを、どうか、笑って受け入れて。



「ん、…よし」



一呼吸おいてベンチに座っていたシリウスに声をかけた。


「シリ…ウス」



声をかけられたあなたはちょっと驚いたようか顔をして優しい顔で返事をした。…暇潰し、なのに



「あ、のちょっと話があるの」


珍しいな、と言いながらシリウスはベンチの横をあけてくれた。



「あの、ね?その…」

「ん?」


「別れて、ほしいの」


「…なんで」



そう呟いた私をびっくりした目で見つめて、そのあと目を細めて聞いてきた。


「お願い、最後の…わがままだから」


このまま、あなたの記憶からわたしを消してください。


「意味わかんねえよ、いやだ」


そういってわたしを頭からギュッと抱き締めた。


「いや…ダメ、だよ。お願いだから」


シリウスの広い胸を何度おしても離れてくれなくて、なお強く抱き締められる力に、久々のシリウスの甘い匂いに自分を見失いそうで。


「別れたくないし、離すつもりもない」


君の甘い声はわたしを痺れさせるには充分で、君に別れを告げるはずの言葉をもうでてこない。


「…これからは、大切にするから」


その言葉でまた私はあなたから離れられなくなる。




(諦めてもいいの?)(この想いを忘れられるほど、)(私は強くないから)






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