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「きんがしんねん!」
「は?」
「はつはる!」
「…おい、壊れたぞ」
「がしょーう!」
「友達、やめていい?」


「みなさーん、明けましておめでとうごじゃいまーす!」
「おおっ!?」


年明け早々きいた声はやっぱりヒナの声だった。日本語で叫びだしたヒナは友達だという自体を後悔させるような雄叫びをあげている。おいおい、相変わらずうるせえな


「あははははは!だって新年ですよ!そんなめでたい日をシリウスと2人きりで過ごせるなんて幸せです!」
「はいはい、もう喋んなくていいから」
「餅たべますー?あ、お雑煮たべたーい」
「…嫌でも実家帰るべきだったか」


例のごとく家に帰りたくなくてホグワーツに残ったけど、ホグワーツにはこいつがいた。…はあ、後悔。雑煮を食べると言って聞かないヒナに引き連れられて食堂まで来たけど。まあ、もちろんここは日本じゃないし、雑煮じゃなくて出てくるのはチキンやらパイやら。…いやそもそも日本食なんて出てくるわけ、


「餅うまーい!」
「はっ!?」


なんで日本食が…というか、いつ出てきたんだよ。なんてツッコミももうこいつには通用しないことは理解している。びよーんと伸びた餅を美味しそうに食べているヒナを横目に大きな溜め息が出た。おいおい…うまそうだな、


「シリウスも食べようよ!」
「お、俺も?」
「美味しいよー!」
「も…餅って美味いのか、」
「超絶に美味いっす、」


実は食べたことがない餅。しかもお雑煮とかいう料理らしい。この俺にとっては知らないことがこいつに負けてる気がして、なんだか悔しかった。


「ちょ、ちょっとだけ、くれ」
「あーん」
「おお…、ってお前!あーんはいらねえんだよ!」
「…ちっ、」
「舌打ち!?しかもお前、それ食べかけじゃねーかよ!」
「シリウス、絶対いいツッコミになれるよ」
「ならねえよ!」
「もー、意地はるな!」


そう言って口に突っ込まれた餅。…これが、餅。なんともいえない味が口にひろがる。


「う、え…」
「え、どしたの」
「まず…」
「ま、ま、まずいですって!」
「うえー…」


急いで近くにあった水を飲み干す。でもまだ口にのこる餅感は消えない。なんだこれは、味の一つもしない…


「もーシリウス信じられない!こんなに美味しいのに!」
「俺はお前が信じられない!」
「あたしと結婚したら正月はこれなのよ?」
「え…それは勘弁」
「結婚は、してくれるのね!」
「…はっ!っちげえよ!いろんな意味で勘弁ってことで」
「いやーん!シリウスったら、もう私のこと大好きなんだからー」
「ばっ、お前、もう、」


こんな言い合いで始まった新年。やっぱり、今年もいい年になりそうだ。




(シリウス今年もだーいすき!)(ばーかばーかばーか)(今年もよろしくお願いします)(…おう)



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ごめんなさい、エコは餅が大嫌いです。すいません、

そして明けましておめでとうございます!これからもよろしくお願いします!新年初がこの連載って!←