救いの手はやわらかく



「で、なんであんなところにいたんだ」
「わかりません…」
「…お前は何者だ」
「みょうじ なまえ、です」
「だから、何者だ」
「いや…あの、女子高生です」
「訳わかんねえな、」
「ですよね」

こんな質問攻めが小一時間続いていてはっきり言って正座していた足はもう使い物にはならなさそうだった。正座…苦手じゃないんだけどな。そして逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけど、横にはあの、ものすごい怖い顔した人がずっと睨んでくるから、

「政宗様、怪しすぎます。これ以上ここに置いておくのは…」
「あっ、怪しくないです!」
「バカか、怪しいだろ」
「ですよね…」
「…はあ、とりあえず言えることを言ってみろ」

言えること…言えること、かあ。

「…私はみょうじ なまえと申します。生まれは東京、育ちも同様にございます。年は18、特技は日舞を少々。」

そう言って深く頭を下げれば完璧、なんて思ったのが間違いだった。あり得ない。みんな、重刀法違反で捕まっちゃうよ。

「…やはり、怪しいな」
「はい、斬りますか」

待て待て待て、なんでこうなるわけ?人生で二回目の刀を突きつけられる経験をこんな短時間でしちゃっていいのかな。だめでしょっ、というかなんでこの人たちすぐ斬ろうとするの!

「斬られませんし!あなたたちこそ何者なんですか!いきなり斬りつけようとして、いきなり家につれてきて、いきなりまた斬るんですか!頭おかしいんじゃないの!人に聞く前に自分のことを説明しなさいよね!」

言ってやった、言ってやったぞ!ついに!ポカーンとしている顔が2つ並んでいたけど、気にしない。

「…お前、政宗様にっ!」
「待て、小十郎」
「しかし政宗様、」

「…Ha、面白いじゃねえか」

怒られると思ったけど、政宗さま、とやらはニヤニヤしながらこっちを見ている。

「確かに、お前の言ってることは間違ってねえな。Ah…俺は奥州筆頭、伊達政宗だ。そして近い将来…この戦国の世を統一するものだ。」
「…私は奥州筆頭側近、片倉小十郎と申す。」

…せんごくのよ、

…戦国の世、

それを聞いた瞬間、今まで意味不明だったことがすべて繋がった気がした。変な着物、変な屋敷、変な…皆さん。

「あのう…わたし、未来から、来ました。」

さっきよりポカンとした顔は、一生忘れられないほど、笑えた。




救いの手は柔らかく




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なかなか進まない…
もっといろんな人だしたいー

がんばります、

090718 エコ