見知らぬ心は寂しい



いいのよ、なまえちゃんは無理をしなくて。ただ元気にすごしてくれればお母さんは幸せなんだから。…だからその分をお兄ちゃんに頑張ってもらおうね。なまえちゃんのこと、嫌いなんじゃないのよ?ただ…、

「やだ、」

目覚めて知らぬ間にかいていた汗を手で拭って寝ぼけた頭を活動させる。ああ、やばい。今、何時だろ?学校、遅刻するかな。

そんなことを考えながら、のそのそと布団を出て時間を確認するために携帯を探した。それにしても今日の布団は気持ちいいな。洗ったっけ、私。

「…なんじ?」

鞄のなかに入っていた携帯を開いて時間を確認するとそこに表示されたのは午後一時。完璧に遅刻だよ…。今日は休ましてもらおう。だんだんと覚めてきた頭でご飯を食べようとした。…ははは。ちょっと待って、あの、

どここれ?

確実に自分の家にはあり得ない畳に、それにきっちりと閉まった襖。いかにも豪華な部屋にさっきとはちがう汗がでてくる。そう、いえば…

『俺は伊達政宗だ、』

そう宣言してきたすごく顔の整ったコスプレイヤーのあの人は…。夢とは思えないバックドロップの感触が蘇ってきて、確かに自分はさっきまでちがう夢を見ていた。そういえば、あの人は私を…殺そうと、した。

そこからの記憶はないけど、まだ体の感触はある。ということは、まだ死んでないんだろう。なぜ私はここにいるのか、なぜあの人は私を殺そうとしたのか。まったく分からないことばかりで、自分のおかれた状況にすごく心細くなった。

「助けて、もらわなきゃ」

本能が急に危険を察知してとりあえずここから出ていかなければと思った。外に行けば誰かはいるだろう。頼むからあの伊達さんには会いたくない。そういう願いをこころで願いながら鞄を肩にかけてそのまま豪華な部屋を後にした。心が不安の鐘を鳴らしているのを、気付かないふりをして。




見知らぬ心は寂しい




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伊達さんがでてこないっ
しかもまたぐだくだに、

次はこじゅと伊達さんがでるはず…!

090705 エコ