「ストレスによる、精神不安定ですか」
「ええ、かなり深いものだと思います。小学生がこんなにもストレスを抱えるなんて、ほとんどあり得ない」
「そう、ですか」
医者が伝えたことに、頭を殴られたような衝撃を受けた。横にいる母は、目を伏せたまま何も言葉を発しない。なまえの倒れた理由を聞くために医者に呼ばれ、なまえ抜きで話を聞いた。
「これからは心のケアが必要です。なるべくストレスを感じさせないように生活させて下さい」
「なぜ…なまえが」
「そうとう深いものだと、理由は…分かりかねますが」
「そうですか…」
その結果を聞いて病院を後にした。なまえのストレスの原因。それは分かっていた。…それは理由を聞いてから、まったく口を開くことのない、母。
「…母さん、なまえは」
「そういえば奏さん。このあとお稽古ですよ」
「母さん、」
「着物、新調しましたから。合わせてみなきゃ」
「母さん!」
誰もいなくて静かな周りに合わない自分の大きな声が、ただ響いていた。
「分かっているでしょう、なまえのストレスの理由」
「何のことです」
「…なぜ、なぜなまえにもっと目を向けてあげないんですか!あの子だって素質が」
「その話はもういいのです。なまえは跡取りにはならない」
「だから…なぜ、」
「なまえが幸せに、なるためです。…もう、いいでしょう。」
「幸せ、に?」
母の言っている意味は、全く分からなくて。だけど、母はとても強い目をしていた。言いたいことはまだあったけど、この目をみると何も言えなくなり黙って家路に着いた。帰ればなまえが待ってる。
「あなたは、なまえのために踊りなさい。そして、絶対に跡取りになるのです」
「…母さん?」
「あなたが、なまえを思うならば。なまえを幸せにしたいと思うならば、絶対に跡取りにならなければならないのです」
母の言った意味はこの時、全然分かっていなくて。ただ、もやもやした気持ちだけが胸の中に渦巻いていた。
見えない未来‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
お兄ちゃん目線です。
お母さんの言っている意味は追々出します。
あれ、ヒロインちゃんもBSRの方も出てない←
100215 エコ