軋んだ、歯車



勉強を頑張っても、舞を頑張っても、お母さんに見られることはない。そんなことはもう分かってたけど、それとなく全部頑張ってきた。舞だってやめなかったし、期待されてないと分かっていてもやり続けたのに。

「奥様!お嬢様が、」

小学生の時だった。舞の練習の途中でいきなり息ができなくなった。きつく締め上げている帯のせいで、なおさら息が出来なくて。お手伝いさんが急いでお母さんに知らせにいっていたけど…来てくれるのかな?遠くなる意識の中でそんなことばかり考えていた。期待しない、って決めたじゃない。もうそれを考えた後から、本格的に意識がなくなりつつあって、騒がしくしているいろんな人の声だけが聞こえてきた。

「いきなり…呼吸が荒くなって、」
「どんな練習をさせたいたのですか!」
「今度の奏様の発表会での、演目です」
「なぜ、そんなものを…」
「あ、の…お、奥様に」
「なんです、」
「目を覚まされました!」

来てもらっていたお医者さんからそう声がかかるとお母さんは私が寝ている布団まできてくれた。そんなこと初めてで、その事にまた息が出来ないくらい緊張してしまう。私の布団の横に座って、少し咳払いをした。

「お、かあ、さん」
「どうしたの?」
「あ、の…わたし」

お母さんが、優しかった。いつもみたいに厳しい目をしてなくて、私の目を見てくれる。勝手にお兄ちゃんの演目を舞って、怒られると思っていたのに。

「あの、ね?わたし…お兄ちゃんの、」
「なまえちゃんはね、激しい運動をしたり出来ないの」
「え…?」
「お兄ちゃんの演目を舞おうとして息が苦しくなったでしょ?」
「う、ん」
「赤ちゃんの時から、体が弱かったのよ」

初めて聞かされた事実に、ただただびっくりしてしまった。体が弱い?そんなことないよ。私、小学校では走ったりしてるもの。さっきの演技より、いっぱいいっぱい動いたりするんだよ?その時は何ともないんだから、

「お母さん、」
「いいのよ、なまえちゃんは無理をしなくて。ただ元気にすごしてくれればお母さんは幸せなんだから。…だからその分をお兄ちゃんに頑張ってもらおうね。なまえちゃんのこと、嫌いなんじゃないのよ?ただ…、」

ちがう、違うよ。お母さん、なんでそんな嘘つくの?なんで、私じゃだめなの?お兄ちゃんと、何が違うの?そんな思いが頭を巡ると、すごくすごく悲しくなって自然と涙が溢れ出していた。

「…今までなまえちゃんには、厳しくしすぎたわよね」
「ちが、」
「嫌だったら舞も止めていいのよ?なまえちゃんの好きなことをしていいの」

子供ながらに分かってた。本当に私は邪魔なんだって。

ねえ、お母さん、知ってた?私、すごく、悲しいんだよ。




軋んだ、歯車



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え、これ、bsr夢?
というぐらいキャラがでません。

次ぐらいには絶対だします!

100208 エコ