んーっと猫が伸びをするかのような仕草しつつ小さくふあっと欠伸をした名前に目尻が下がる。
「眠いの?」
壁を向いていた体をごろりと寝返りを打ち、枕に散らばっている名前の髪に指を絡めながらそう問えば名前は「眠いような眠くないような」といったよくわからない返答をして、それがなんだか名前らしいなとまた目尻が下がった気がした。さっきから目尻が下がりっぱなしの俺は確実に変質者だなと写輪眼のカカシの実態に自ら溜息を吐くが、この実態は自分にとってはいい事でしかないのでそんな考えは直ぐに頭から消え失せる。
「カカシは眠く無いの?」
眠いのか眠くないのかわからないと言いつつも若干目がとろんとしている名前は眠そうな声でそう問うた。名前の髪に絡ませていた俺の指をぎゅっと握る名前の手は眠いせいなのか小さい子の様に暖かくて、眠くないと思っていた筈が急に眠気がこみ上げてきた。
「俺も眠いかな」「私眠いって言ってないけど」「眠そうだけどね」「うん、ちょっと眠くなってきた」
くふくふと口元を緩めて笑う名前の下がる眉を見ながらじゃあ早く寝ましょうかと促すと名前は何やら眠そうだった目をぱちりと開けてすすすっと横になったまま布団の中で擦り寄ってきた。
「なに?…っ、」
擦り寄ってきた名前が俺よりも幾分冷たいであろう足をぴたりと俺の足の甲に乗せて直ぐ、やわらかい唇が押し当てられた。唇を割ってぺろっと控えめに進入してきた舌の熱さと、舌を通じて分かる唾液の甘さに意識を持っていかれる。
「っ、なに…はっ」
情事の時に俺からする口付けでさえ恥ずかしがる名前が、自ら、しかも舌を絡めてくるだなんて有り得なくて、眠気に吸い込まれそうになっていた寝ぼけた頭が上手く働いてくれなくて、何がなんだかわからないままに舌を絡められ、唾液を移され舌先を吸われる。
「ん…、」
唇を開放され、じゅる、っと唾液を舐め取るように音を立てながら唇をぺろりと舐めた、やはり眠そうな表情をした名前は、擦り寄ってきていた体をすすすと元の位置に戻し、ごろんと俺に背を向けるように寝返りを打った。
「おやすみ〜」
…結局今のはなんだったのかと見っとも無く逸ってしまった心臓を気取られないようにしながら俺はこれ以上はやらないのね、と名前の気まぐれに踊らされて眠る。


20121205