甘い痺れが体の中で疼いている。隣に横になっているカカシの背中を見ながらそう思い、わたしは小さく息をついた。
するとカカシは静かに寝返りを打って向かい合うようになると、フっと微かに眉を下げた。
「疲れた?」
情事の直後に聞かれれば、つい頷きそうにもなるが案外これがしあわせを実感できる要素なので一言で答えられるわけではないのだ。
「…少し?」
「疑問系なんだ」
「だってしあわせな疲労感だから」
カカシは木の葉の忍びで、戦力になる人だからいつ大きな任務に出るかわからない。明日が安定していない以上はこの疲労感が体に広がっている間はカカシを感じていられるのだ。カカシの愛を。そう思うとしあわせ以外のどういう表現をすればいいのかわからないのだ。
暗にそう伝えると、カカシは酷く申し訳なさそうな表情をしてわたしの瞼に口付けを落とした。ここで何も言わないところがカカシっぽいなと思った。
そんなことないよと、期待させることは言わない。決してわたしを裏切ることをしない人なのだ。
「名前、」
「ん、っふ…ぅ」
瞼に口付けを落とした唇がわたしの唇の重なって、そっと間を割るように滑らかな舌が入り込んできた。絡んでくる舌に応えるようにわたしも動かしたけれど、どうにもそれは足りなくてそうこうしている内に歯列をなぞられる。
その間にもカカシの手はわたしの胸元に下りてきて、そっと触れた。
すると口内が開放されて、ちゅっとリップ音が聞こえるように胸元に一度口付けをされた。
「俺はね、名前が思っているより名前に溺れてるよ」
「、そんなの わたしもよ」

ばかねえ、なんて優しく言うから

僕はまた愚かになった

嗚呼、溺れてゆく。

ゴースト 20120831