「ふ、」 「力を、抜いて下さい」 「んんっ」 窓の外ではこれでもかという程に雨が降り続いていて強い風はガタガタと窓を揺らしている。余裕の無い頭でぼんやりとそんなことを考えていればズッズッと膣内にトビが入ってきて独特の圧迫感と内側を撫で上げるような摩擦に腰が踊る。 「なに、考えてるんすか」 「あとどのくらい、っはぁ…トビとセックスできる、かっ」 せめて雨が小降りになるくらいはこうしてひとつになっていたい。せめて風がさびしさを募らせないくらいの弱さになるまでならいい。 「案ずるな」 途端低く響いた声にゾクリとする。 ふっと、息を吐くくらいの微かな間が空いてすぐトビが私の腰を掴んだ。掴まれたとこからじわじわと熱が集まってくる。それは考える暇も無く全身に広がってきて、私はそれから得る言いようのない快感だとかトビへのいとしさとか、すべてを涙としてしか外へと出せないのだ。 するとトビはなにを考えているのかなにも考えていないのかそれらを受け取るかのように私に覆いかぶさって涙をぺろりと飄々とした態度で舐める。 「ト、ビっ」 「はい」 「トビっ」 「はい」 「ぁっ、ト…っ」 「ああ」 どうしようもなくて、汚いくらいにこのひとを自分だけのものにしたいという感情とそれをしたらいけないという感情が織り交ざる。だからせめてつながっているこの瞬間だけはって思って足を智の腰に絡めて深く深く私を探るトビの雄を感じながら首に縋りつく。 「名前」 「トビ」 ヴォイス あいしてるという思いを言葉なしで語り合うの。 20120826 |