会いたい。
そう思うのは良くない傾向だと俺自身理解している。焦っているのだ。
何度だって俺のことしか映らないようにさせてやるとは言っても、再び彼女を失うことに恐怖を感じないわけがない。
正直俺には時間がないのだ。任務に出てる時間があるならば少しでもいい。ユナとの時間を埋めたい。
けれどそんなことも言ってられない。
それに、任務をこなすことで嫌な感情に支配されずに済むというメリットもある。

「ユナ…」
しかし任務の帰り道は辛いものだ。こんなにも彼女のことしか考えられないんだ。
何度目かの初めまして。その日からはただただ、ユナにすきになってほしい俺が存在する。そして、想い合えた日。
これまでに積もり積もった彼女への思いを爆発させてしまわないように、彼女に怖い思いをさせないように男の俺を抑えながらそっと抱きしめて眠る。

この一日は待ち続けた時間よりとても、短く感じるんだ。
そしてそれからの日々は

「俺は怖いよ」
再び君を失う日に怯えるしか出来ないんだ。

ああ、早く帰りたい。そうして君を抱きしめたい。今日はいつもより少し強く抱きしめてしまうかもしれないけど、どうか怯えないで。

後ろに流れていく風が痛いほどに冷たい。
顔布越しでもそれは変らなくて、感傷的になっている俺を打ちのめすには十分なんだ。自分がこんなにセンチメンタルだなんて正直笑えるが、この全てが君へのいとしさで出来ているならそんな俺もいいかななんて思えてしまうよ。

「早く君に会いたい」
動け俺の足。
速く速くもっと速く。ユナに会うために。


20130115
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