光るクラゲが道を照らす

冷たい仕事机に背を預けて両目を自分の手で塞ぐと、自然と手のひらが涙で濡れた。
「トゲコ、なぜ目を塞ぐ?」
「わからな、っぁ」

スーツのスカートの中に進入した手が慣れた手つきでするするとストッキングを脱がしていく。その間にも太ももの内側を擽るような指先から逃げようと勝手に腰が浮く。

「不埒な女だな」
「そんなことっ」
「そんなことあるだろう。幾ら残業中で二人きりだからといってこうして職場で体を重ねているのだから」
トビさんは意地が悪い。
わざと体中の血液が煮えたぎるような言い方をするのだ。しかも、良い声で耳元で。

脱がされたストッキングがどこかに投げられた音がした。
音だけで状況を探っていると、ふと首筋に舌が這ってきた。
「んんっ、ぁトビさ…」
「他のことを考えているなんて余裕だな」
「違っ」
「まぁ良い。そんな余裕、直ぐに無くしてやる」
言うが早いかトビさんの熱い息が釦を外されみっともなく開いている胸元に落とされる。
「…ん、」
声を抑えたくて唇を噛んでも、背筋から競りあがってくるような快感に唇の隙間から勝手に声が漏れてしまう。
「抑えなくて良い」
「や、っあぁ」
やがて太ももの内側を這っていた手が足の付け根へと侵食してきて、下着を避けるようにと隙間から指が

「あぁ、あ、ぁっ」
「はしたなく濡らすほど良かったか」
目元を押さえている腕ががくがくする。聴覚からも感覚からも支配されているようで力が入らない。
トビさんの指が膣の内側を擦る度にはしたない声が漏れてしまう。
涙は勝手に出てしまうし、背は反るように浮いてしまう。

ああ、あ、

「入るぞ」

「ああぁ!!」
膣を無理やり押し広げられるような感覚となんとも言えない快感だけが競りあがってくる。力の入らなくなった腕が勝手にだらりと下りる。
「…トゲコ、」
「あ」
「トゲコ」

抑えていた為に真っ白になった視界が晴れて来ると額に汗が滲んでいるトビさんと目が合った。
このたまらない快感をもう少し味わっていたいと思いながら彼の肩にしがみつくと、彼の肩越しに、疎らに光を放つネオンが揺らいでいた。

光るクラゲが道を照らす


Ada McGrath
御村さん 20130214



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