ねぇ、何でやさしく突き放すの?
わたしももう中忍。あなたみたいに誰かを惹き付ける様な力は無いけど、もう下忍を引っ張る立場なのよ。
今まで何度かハードな任務に参加する機会はあった。だが、先輩であるカカシさんに毎回手を回されlて別の忍へとメンバーを変更されてしまうのだ。
今日は、そのことについての何度目かの抗議の為にカカシさんの家に来た。
「ダーメ」
「でも、」
そろそろわたしもAランクの任務に参加してもいいと思う。ほかの中忍ではもう何度も参加しているひとだっている。それに何時まで経っても簡単な任務ばかりしていては力だって育たない。
そう、言いたかった。けれど真剣なカカシ先輩の瞳に制されてしまったのだ。
「トゲコにはまだ早いよ」
「…いつもそればっかりですね」
そんなにわたしは信用が無いのだろうか。なにもわたしだっていきなりSランクに参加しようなんて思ってない。Bは既に何度も参加しているからこそそろそろAをと考えたのだ。何より、カカシ先輩の役に立てるような忍に早くなりたいのだ。
忍としても異性としても憧れのカカシさんの役に立てるように。
毎度聞くカカシさんの言葉に拗ねるように吐き出せば、宥めるような笑みと紅茶を寄越された。湯気が揺らめいているいい香りのするそれに口をつけると、カカシ先輩はふわりと弧を描くように笑った。
「ねぇトゲコ」
「なんですか?」
真面目なトーンで自分の名前を彼の口から聞くことがあまりないので、急に緊張してしまう。テーブルに置いたカップが予想していたのよりもカチャリと音を立てたので、一瞬びくりと肩が動く。
嫌だ。これでは意識していますと言わんばかりではないか。
「トゲコ」
「なん…っ」
テーブルを挟んで向かい側のソファに座っていたカカシさんが立ち上がり、テーブルの上を跨ぐようにこちらに手を伸ばしてきた。
その手は、そっとわたしの頬に触れた。思わず、わたしはカカシさんに愛されているのではないかと思ってしまうほど、やさしく。だって、その目はあまりにも慈しむようだったから。
「カカシさ「トゲコ」」
全身の熱が顔に集まったみたいだ。もう、目の前にいる彼しか、目に映せない。心に映せない。指先がじとりと熱を持つ。微かに体を動かすことさえ意識してしまって上手くいかない。
どうしようもない恥ずかしさに思わず、顔を背けようとする。
「あのっ」
「駄目だよ」
両手が、わたしの頬を包んだ。
「俺をみて」
全身が心臓になってしまったように脈打つ。あまりの恥ずかしさに目を伏せるしか心を落ち着かせる術がない。それでも、心臓は五月蝿くて、わたしは肺の中に溜まった二酸化炭素を押し殺すようにそっと吐き出した。
「トゲコの言いたいことはわかっているつもりだよ」
「なら…」
「でもね、まだ駄目」
「そんなに、信用ないですか…?」
恥ずかしいのを押し殺しつつ、けれども抑えきれない恥ずかしさで震える唇で尋ねた。
少しずつ近くなってくるカカシさんとの距離。わたしの心臓はもう破裂寸前だった。
「俺が君を失うのが怖いだけ」
唇がふれた。
背中
そよこさん 20130320
わたしももう中忍。あなたみたいに誰かを惹き付ける様な力は無いけど、もう下忍を引っ張る立場なのよ。
今まで何度かハードな任務に参加する機会はあった。だが、先輩であるカカシさんに毎回手を回されlて別の忍へとメンバーを変更されてしまうのだ。
今日は、そのことについての何度目かの抗議の為にカカシさんの家に来た。
「ダーメ」
「でも、」
そろそろわたしもAランクの任務に参加してもいいと思う。ほかの中忍ではもう何度も参加しているひとだっている。それに何時まで経っても簡単な任務ばかりしていては力だって育たない。
そう、言いたかった。けれど真剣なカカシ先輩の瞳に制されてしまったのだ。
「トゲコにはまだ早いよ」
「…いつもそればっかりですね」
そんなにわたしは信用が無いのだろうか。なにもわたしだっていきなりSランクに参加しようなんて思ってない。Bは既に何度も参加しているからこそそろそろAをと考えたのだ。何より、カカシ先輩の役に立てるような忍に早くなりたいのだ。
忍としても異性としても憧れのカカシさんの役に立てるように。
毎度聞くカカシさんの言葉に拗ねるように吐き出せば、宥めるような笑みと紅茶を寄越された。湯気が揺らめいているいい香りのするそれに口をつけると、カカシ先輩はふわりと弧を描くように笑った。
「ねぇトゲコ」
「なんですか?」
真面目なトーンで自分の名前を彼の口から聞くことがあまりないので、急に緊張してしまう。テーブルに置いたカップが予想していたのよりもカチャリと音を立てたので、一瞬びくりと肩が動く。
嫌だ。これでは意識していますと言わんばかりではないか。
「トゲコ」
「なん…っ」
テーブルを挟んで向かい側のソファに座っていたカカシさんが立ち上がり、テーブルの上を跨ぐようにこちらに手を伸ばしてきた。
その手は、そっとわたしの頬に触れた。思わず、わたしはカカシさんに愛されているのではないかと思ってしまうほど、やさしく。だって、その目はあまりにも慈しむようだったから。
「カカシさ「トゲコ」」
全身の熱が顔に集まったみたいだ。もう、目の前にいる彼しか、目に映せない。心に映せない。指先がじとりと熱を持つ。微かに体を動かすことさえ意識してしまって上手くいかない。
どうしようもない恥ずかしさに思わず、顔を背けようとする。
「あのっ」
「駄目だよ」
両手が、わたしの頬を包んだ。
「俺をみて」
全身が心臓になってしまったように脈打つ。あまりの恥ずかしさに目を伏せるしか心を落ち着かせる術がない。それでも、心臓は五月蝿くて、わたしは肺の中に溜まった二酸化炭素を押し殺すようにそっと吐き出した。
「トゲコの言いたいことはわかっているつもりだよ」
「なら…」
「でもね、まだ駄目」
「そんなに、信用ないですか…?」
恥ずかしいのを押し殺しつつ、けれども抑えきれない恥ずかしさで震える唇で尋ねた。
少しずつ近くなってくるカカシさんとの距離。わたしの心臓はもう破裂寸前だった。
「俺が君を失うのが怖いだけ」
唇がふれた。
背中
そよこさん 20130320