授業中、休み時間の境が無いように騒いでいるクラスメイト。私はというと、その中心に居るナルトの、その隣で巻き添えを食らっているシカマルに視線を注ぎながらぐでっと机に寝そべっていた。鬱陶しそうにナルトを相手にしながらもなんだかんだでいつも付き合ってあげるシカマルは優しいのかそうじゃないのかわからない。それは、私に対しても同じだけど。

でも、そんなシカマルのことを私はすきだったりして、で、シカマルももしかしたら私を好きで居てくれるのかもしれなくて。

比較的女子とはあんまり話したりもしないタイプのシカマルは(話しかけられれば反応はする)、ナルトと腐れ縁だったお陰でかよく私には話しかけてくれる。そしてそれはクラスの中だけとかじゃなくて、学校がない休日でも、時々シカマルは私の携帯を震わせてくれたりするのだ。

そんなことをされては期待もしてしまう。でも、

「なんだよ」「み、みみみ見つめてなんか、」「はぁ?何どもってんだよ」
今の今までナルトとその他大勢のクラスメイトに囲まれて、学校に持ってきていいのか卓上将棋をしながら器用に話していたシカマルがいきなりこっちを向いてきたから視線がパチっと合ってしまって、シカマルは将棋を指すのをやめて私の方に近寄ってくる。

私はクラスメイトのいる中、そんなことを言われて、しかも胡散臭い笑みを口元に浮かべながらシカマルは近づいてきて、平常心を保てるわけの無い私は机にべったり張り付いていた体を勢いよく起こして椅子から立ち上がると廊下へとそそくさ逃げた。

「どこ行くんだよ名前」「ちょ、シカマルついてこないでよっ」「名前こそ、なんで逃げんだよ」「逃げてない、ト、トイレに行こうとし「トイレは逆だろが」
廊下を走ると先生に注意をされるからと真面目に規則を守る私は早足で頑張ってシカマルから逃げようとするけど、同じく早足のシカマルは一歩の幅が私とは全然違って、当たり前だけどすぐに追いつかれてしまう。

「そろそろ素直になったらどうだ?」
丁度、廊下を曲がろうとしたところで、生徒とぶつかりそうになって、少し歩が休んでしまった隙に私は手をシカマルに掴まれて、生徒の通りが多い廊下で壁に押しやられてしまう。他のひとの視線も痛いし、恥ずかしさで心臓が痛い。きっと真っ赤になっているであろう顔を上げられない。

「素直って、どういうことよ、っ」

一瞬でも自覚してしまった感情を否定するのは、難しい

「大人しく俺をすきだと言えってことだよ」

耳に吐息がかかりそうなほど近くでそう囁かれる。少しだけ視線を上げると優しい表情をしたシカマルと目が合って、私は金魚のように口をぱくぱくと動かすことしかできなかった。


不在証明
20110210