薄い唇から吐き出された紫煙がゆらゆらと天井へと上っていくのをベッドに横になって見ていた。天井に上った紫煙がスウっと薄まり消えていくのを一瞥してベッドに背を預けているシカマルに視線を投げる。
布団に包まっている体を横向きにしてベッドに寄りかかっているシカマルの首に後ろから腕を回す。

「ねぇ」「あ?」「しない、の?」「怖いんじゃねぇのか?」
俺はいいけどよ、お前は怖いんだろ。なら無理にはしねぇよ。
シカマル言葉は私のことを考えてくれたからこその言葉だと、思うのだ。けれど、恋人になって2ヶ月以上。キス以上のことは何もしていない。体を重ねる行為を経験したことの無い私にとってそれは未知の世界。だけど流石に不安になってくるのだ。

「怖いけど、でも」「なんだよ」
指の間に挟まれじりじりと長さを縮めていた煙草がギュっと灰皿に押しつぶされた。シカマルの首に回していた私の腕をやんわりと解いてベッドの上へと腰を掛ける。

「名前」
腕を後ろに回していつも髪をひとつに束ねている紐を解いた。シカマルの髪がはらりと重力のまま落ちる。

「途中でやめてっても、やめてやんねぇぞ?」
布団に包まる私の上に覆いかぶさるようにして口角を上げたシカマルが言った。

もうどうでも良いから早くして

「了解、」


傲慢
20110206