辺りを外灯が照らすような時間帯。
委員会があるし、終わるのが遅くなったらなんとなく怖いじゃないという迷惑な幼馴染に付き合わされて待っていた俺は7時頃、長引いた委員会から戻ってきた名前と二人並んで夜道を歩いていた。特に会話という会話をすることはなく、普通に歩くだけなのに何故か空気は悪いものではなかった。
それが、前後に揺れていただけの指先がふと掠った。それが悪かったとは思わない。ただ、それは思ったよりも名前を驚かせたようで名前は勢いよくこちらを見て「な、に?」と呟いた。
話すときに吐いた息が白くて、自分も同じ状況なのになんだか名前の方が寒そうに見える。女子の制服がスカートだからだろうか。それとも名前の鼻先が赤いからだろうか。

「手、貸せ」

ただ偶然触れただけ。でも俺は自然と名前の手首を突っ込んで自分のポケットの中に二人分の手を突っ込んだ。自分から手を握ったくせに心臓は妙に逸っていて中学生じゃねぇってのにと内心毒づいた。

「シカマルの手、冷たいね」


うきわ 20110208