ふっ、と肺から押し出されたように吐き出された息が天井に吸い込まれた頃。
俺の下で裸で布団にしがみ付いている女の腰を掴んだ。触れ合っている部分とは異なり少し腰がひんやりするのは外の冷気が隙間から入り込んでいるせいだろう。しかし女が腰を冷やすだとかそんな事はどうでもいい俺は腰を掴んだ手にぐっと力を入れて融合部に負荷を掛けた。

「あっ」
女の色めいた甲高い喘ぎ声が聞えて少し吐き気を催すけどそれも直ぐにどうでも良くなる。女の白い足を開かせて体をその間に収めて女の足を掴む。掴んだ足を腕の間接部分で固定して、愛撫ではしたなく欲望を溢れさせているそこに突っ込んでる雄をもっと奥へと進める。女が痛がるだとか、喘ぎじゃない声を漏らしているだけはどうでも良い。大体俺は先ずこの女の名前を知らない。肌の表面にじわりと汗が吹き出て、小さく絞られたベッド元のライトがそれを照らしてくる。薄暗い部屋の中では女の顔を見ることも無くて、ただ紫煙を吐き出すような簡単な行為だけに意識を集中できる。

「や、あぁっカカ、シ んんっ」
見っとも無く善がっている女を尻目に俺は雄を何度もその醜い穴に出し入れをする。ああ、いいな。腰が小さく痙攣した。急に雄がきゅっと締め付けられる。
「あっ ぁあっ!」
女の足に力が入って指先が硬くなっている。ズズっ、ぴちゃりくちゃりと擦れ合う水音が聞こえる。苛々する。腰が熱くなる。このどうしようもなく虚しい行為に激しい快感と発散を感じる。

ああ、やばいな。
腰をぐっと引いてずるりと雄を取り出す。そしてそのまま大きく上下する女の腹部に欲望を吐き出した。はぁ、と息が漏れる。任務のときと同様に呼吸をしていたつもりがそれはまるで違ったかのように深い息だ。

「ね、何布団掛けてんのよ」
「だって、もうっ」
「何言ってんのまだ10回もしてないでしょーよ」
そうして俺は既に疲れているであろう女の体に掛けられた布団を捲る。口では嫌だと言っても所詮力で俺に対抗できるわけも無い。開こうとしない足を無理矢理手で開く。閉じられる前に体を間に押し込める。さっき欲望を放出したばかりの、既にいきり立っている雄を濡れそぼったままの穴にずぷりと勢いよく突っ込む。

なにもかも嘘だったらいいのにね

知らない女と寝るのに罪悪感を感じないことも、セックスに愛なんて意味が存在しないことも、こんなどうしようもない俺の存在も。


cathy
20110208