ごろりとベッドの枕元に腰をかけて壁に背中を預けて宙を眺めていると、今の今まで俺の膝に頭を乗せて猫みたいに体を丸めて目を瞑っていた名前が体を起こした。
足の上の心地よい重みと暖かさがなくなって少し寒くなった気がする。
「起きたか」
体を起こしてもまだ眠そうな表情をしている名前の頭に何と無く手を置く。するっと指で髪を梳けば名前は気持ちよさそうに目を閉じるから、また猫みてぇだなんて思う。 数時間前に風呂に入っていたからか、名前の髪から俺と同じシャンプーの香りがする。それが鼻を掠め、心地よくて俺も少し眠くなる。
でもそれと同時に俺の中の何かが膨れ上がってきてもっと触れたくなる。
「シカ」
「なんだ」
俺の名前を呼ぶ名前に目をやると、さっきまで目を閉じていた名前はじっと俺を見ていた。自分から見ることはあっても見られることはあんまない。そのせいか付き合って大分経つってのに今でも心拍は勝手に上がってく。俺がこんな風に思ってんのを奴らが聞いたらそれこそ冷やかされんだろうなと思う。
またぼーっと、そんなことを考えていたからか、いつの間にか名前の白い肌が近づいてるような気がした。さらりと髪が鎖骨を撫でて落ちていく。薄めの名前の唇が隙間を作ってそのまま近づいてくる。「おい、名前、っ」
俺の唇に名前の唇が重なってきた。ふにっとやわらかい感触と、しつこくない甘い香りがして離れたかと思えばまたすぐにちゅ、ちゅっと軽く何度も角度を変えて重なってくる。 呼吸が止まっちまったみたいだ。うっすらと目を開けてみると、至近距離に長い睫を伏せた名前が見えた。名前の髪が鼻を擽る。気がつけば名前は甘えるように俺の首に腕を回してた。 背中に腕を回すと、唇が離れて瞼にまた唇が振ってきた。
「シカ、顔赤いね」
「お前が急に迫ってくっからだろ」
「嬉しいくせに、」
夜を撫でるようにふわりと笑った名前は眠そうな顔をしてそう言った。俺はは不覚にもどくどくと五月蝿く鳴っている鼓動をごまかすように名前を強く抱きしめてそのままベッドに沈んだ。
夜に堕ちる
レイラ 20110219
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