幼馴染ってのは気が知れてる分面倒なもんだと思う。特に女の幼馴染ってのは面倒だ。これがチョウジ相手ならそうは思わなかっただろう。

「ねーココアは?」
「んな甘めぇもんねぇよ」
「えー…」
家に来るなり俺のベッドを陣取って枕を抱えて注文をつけるこいつはイノやチョウジと同じく幼馴染ってやつで。面倒だ面倒だと思っている元凶だ。

「そんな甘いものすきなんだよ、女の子は」
「自分で女の子とか言うかよ」
「言うよ。あーあ、さらっとココアとかアイスクリームとか出してくれるいけめんの執事が居たらなぁ。お嬢様ってね!もう私をまるごと受け取ってって感じなんだけどなぁ」
「はっ、んなの居るかっての」
「居るよ、どこかには」

「夢ん中じゃねぇの」
「少しは夢見させてくれてもいいじゃない」
ココアの変わりにインタントのコーヒーを渡すと名前は苦い顔をして渋々受け取りながら口をつけた。

夢見る睫毛

「名前がお嬢様ってがらかよ」
「わかってるってば。夢見ただけ〜」
「…お前には手ごろな幼馴染で充分だっての」

lamp 20110424