「ねぇ」
前を歩いていた名前がふいに立ち止まって振り向いた。振り向く時の反動で肩まで伸びている髪がさらりと揺れる。

「なんだ」
何となく見ていた地面から視線を上げてそんな彼女を見る。ああ、外は億劫なくらい寒いのに名前はなんだか楽しそうに笑っている。そう言えば俺が見る名前はいつも笑ってばかりいる。振り向いた彼女の頬は、やはり寒いとは感じているのだろう少しだけ赤くなっていた。

「ふふ、やっーぱり。また何か考え事してたでしょ」「…」「あ、駄目って言ってるんじゃないよ?危ないとは思うけど。あ、でも我愛羅は視野も広いし大丈夫か」「…」


「違うの、あのね」

何も言っていないのになんとなく俺の言わんとしていることがわかっているのか名前は言葉を続ける。
「我愛羅はきっとまた考え事してるんだろうなって予想してたのが当たったから、私はやっぱり我愛羅がすきなんだなって思って嬉しくなったの」

「…そう、か」

「あ、我愛羅少し頬が赤い。かわいー」「寒いから、な」

「ふっふー」


20110208