「サスケ」
「なんだ」

6限終了の鐘が鳴って直ぐ、クラスメイトである名前が声を掛けてきた。
高校に上がった今は話す機会も少なくはなったが、小中の殆どを同じクラスで過ごしてきた名前は高校生になった今でも名前で呼び合う程度の気安さはある奴だ。

ここ最近はそれこそ話すことも無く、俺も何と無く気には留めていなかった。時間が経てばそんなもんだろう。そんな風に思っていたからこそ名前が久々に声を掛けてきたことに俺は内心驚いている。

「ホームルームで出た課題あるじゃん」

「将来の夢とか言う下らないやつか」
「そうそう、なんて書いた?」

「名前はなんて書いた」

尋ねる前に自分から言えよという気持ちと多少なりとも気になるという思いで尋ねれば、参考にさせてもらおうと思って友達に聞いてみたら皆結構適当で、「やっぱお嫁さんでしょ」とか言ってるからさーと言う名前。つまり書いてないらしい。

そこまで聞いて普段名前が一緒にいる面子を思い浮かべた。成る程とは言えないが、まぁなんとなく言ってそうな言葉だと納得した。
実際自分も未だ書いてはいない。というよりはそれ以前に考えてもいなかった。けれど顔の前で手を合わせて「だから参考までに見せてよー!」と頼み込んでくる名前を見ているといい考えとばかりの答えが浮かんできた。

「嫁とかぶっ飛んだことを言うのは馬鹿の考えだ」

「…うん?」

俺の言葉に、頭の上で手を合わせたまま名前が顔を上げる。それを見て自分の口角が自然と上がったのがわかった。だって、自分の口があまりにも抵抗無くその言葉を言おうとしたのだから。

「取り敢えず順序立てて先ずは俺の彼女にでもなれ」


私の恋人はリアリ

「結婚はそのあとだ」
「え、うん、え、ぇえ?!」
「五月蝿いぞ」


レイラ
20110212