イタチへの復讐を胸に誓い、アカデミーで日々そればかりを考えながら修行をしていたときのことだ。イタチへの復讐心の前では何も色を持たない毎日、五月蝿いばかりの女たち。それに比べると妙に色づいて見えた女が居た。
「修行?凄いね」
そんな熱心になって。そう呟きながらもそんな風には思っていないような顔をして近くの岩の上に腰を掛けて俺の修行を後ろから見てきた。
「別に普通だろ」
殆ど話したこともない女だった。初めて話しかけられたときはアカデミーにこんな奴いたのかという程度の認識だった。それもアカデミーに入ってから3ヶ月ほど経った頃だ。最初は話しかけるなと言っていたが俺がそう言えば「うん」と素直に黙っていたし後ろにいるのはうざったかったが適当にほっとけばどこか行くだろうと思って修行をしていた。
「うちはってさ、努力の天才なんだね」
毎日のように俺の修行を見に来ては黙ってばかり。いつの間にか消えていたりなんてことも多々あった。がある時いつものように夕暮れを過ぎた頃修行を終えて帰ろうとするとそいつはまだ後ろに居た。そして帰り際にぽつりとくだらないことを言い残して消えやがった。
それは生まれつきのものだとでも言うように。…イタチを殺すためには強く。それだけしか考えていなかったし天才でなくてはいけないと多少なりとも考えていたがそういう捕らえ方をされるとは欠片も思って居なかった。そうして勝手に俺の中に入り込んできた奴は、ドベのナルトをすきだった。

「ナルトがうちはに敵対心持つのもわかるな」
「は?」
「だって、やっぱり天才だし。ナルトと同じく落ちこぼれの私からすれば少なからず羨ましいし」
「…」
「でもナルトは落ちこぼれだけど、うちはと同じで努力の天才だから」
うるせぇ
「強くなるよ」
黙れ
「私、ナルトのことも尊敬してる」

その唇を縫い付けてしまいたい

今すぐ黙らねぇとその口塞いでやる。


lamp 20110424