私がその人たちのかわりに殺されれば少しは人を殺すのをやめるかなぁ

ふと、そんな風に思ったのは付き合っている相手が人を殺してしまうのがとても上手だからなのだと思う。私と彼は忍で、そんなことを言うのは許されないのだとわかっていたけど、彼は人を殺すとき感情を殺しているようだったから、私は言った。
「殺さないで」
彼は私を見て言った。
「それは無理だよ」
忍として触れてはいけないであろう事を言った私に彼はため息を吐くでも怒るでもなく、眉を下げて酷く申し訳なさそうに「ごめんね」そう言った。

「ねぇカカシ」
「ん?」
「私が殺されたら殺すのをやめてくれる?」
「んー、残念だけどそれはないかな」
「やっぱり?」
「俺が殺さなくなれば他の人が代わりにするだろうし、俺は名前が殺されて大人しくなれるようなやさしい人間じゃあないからね」
木に背を預けて片手で本を開きながらそう言った彼に私は言いました。

「それがやさしいのよ」


ゆくゆくは逝ぬ 20110414
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -