同期である紅たちが今日は上忍で飲みをするからお前も来いと私に誘いを掛けてきたのは数日前。私自身は中忍の時に参加したBランク任務で忍としては使い物にならなくなってしまったので以降はずっと忍たちの任務が順調に行われる様にと下調べをする役割をしていた。
ここ2、3週間は技術は必要になっても罠などの心配が無い任務の補佐を担当することが多かった私は久しぶりに皆と話をするのもいいと二つ返事を返した。が、前日になって調べなくてはならないことが舞い込んできて、私が飲み屋に来たときにはザルである紅、それなりには強いアスマ以外の上忍はほぼ出来上がっていたのだ。
「…」「まぁ座れって」「お疲れさま、急に大変だったわね」
「あ、うんそれはいいんだけど皆ペース早過ぎない?」
元々自ら飲むことの無いガイは勿論、アンコも出来上がっている。アスマも何故普通に話せているか理解が出来ないくらいに赤い顔をしている。一番意外なのはカカシが机に突っ伏していることだ。
そんなになるまで飲む必要も無いだろうに。そう腑に落ちない思いでカカシを見下ろしているとアスマが頭を掻きながら楽しそうに口を開いた。
「あー…悪いんだが名前、カカシを家に届けてやってくれるか」
「え、私まだ飲んでないんだけど」「そう言うなって、今度は奢ってやるから。な」
心なしかアスマがそう言うと紅が楽しそうにこちらを見てきた。他は潰れているから二人で飲みたいのか、それとも私があまりカカシと関わりたがらないことを知って敢えて楽しんでいるかだ。ほんと、いい性格している。
「いいけど、高くつくからね」
私、結構飲むよ。と言って机に項垂れているカカシの体を半分背負う。身長差のせいで多少足を引きずるのは仕方ない。
別に、カカシのことが嫌いなのではなかった。というより若くして上忍になったカカシを尊敬もしている。ただ、受け入れられなかったのだ。カカシが私をすきだという現実があまりにも現実離れしていたから。大体忍として使い物にならなくなった自分が木の葉の忍の中でも秀でているコピー忍者の隣にいるのは可笑しいのだ。
「名前…」「…起きたの?」
肩に掛かっていた負担が少しだけ軽くなった。やはり意識がある人間とそうでない人間の重さは違うなと実感をしながらアルコールで妬けたのだろうか吐息交じりのカカシの声に耳を澄ます。
「ああ。もう歩けるから下ろしていい」「わかった」
言われた通りカカシを背中から下ろせばカカシはだるそうに地面に胡坐を掻いて項垂れる。何が歩けるなのか、別に遠慮はしなくてもいいのに。

「俺さ、」
飲み屋のある場所から外れたからか、辺りは割りと暗くてカカシの銀髪は夜によく映える。
「名前に「カカシとはそういう関係になれない」って言われたときわかった…って言ったけど…」
カカシの銀髪が揺れる。続きを聞いてしまうことに抵抗があった。それなのに心臓は期待をしているようで自分はやはりこの男がすきなのだと、思ってしまう。アスマには、焼肉も奢らせてやろう。

ほんとうはまだすきだったんだよ


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自慰 20110309