「っ、ひ、う゛ぅ…っ」

私はなんて馬鹿なのだろう。自分から喧嘩しといて泣くなんて。
膝を抱えて、鼻上位までを膝を抱えている腕で隠しながら私に背中を向けてひたすら本を読んでいるカカシを見るともっと涙がこみ上げてきて、一度ははっきりした視界がまた滲んできた。

言い方は確かに悪かったかもしれない。でもやっぱり謝りたくなんか無い。任務で忙しいから休みが少ないのはわかる。だから、たまの休みくらいはゆっくりとっていうのもわかるけど、でもでもそれじゃ私はいつになったら構ってもらえるの?そんな、子供っぽい言い分。だけど、これが本音だ。

久しぶりに休暇が貰えたということを聞いて着てみればカカシはすでに壁に寄りかかりながら本を読んでいて、私が来ても本に視線を落としたまま「あれ、久しぶりだね」って言うだけ。勿論会話はしてくれる。その内容も、適当じゃなくてちゃんとしてる。でもね、やっぱり私は久しぶりに会ったら抱きしめてほしいし、キスだってしてほしい。無理言ってまでしてほしいなんて思わないけど、せめて話すときは目を見るくらいしてほしい。

「なんでカカシはいつも私より本なの?普通は、もっと大事にしてくれるよね、」

あんな、誰かと比べるような言い方をした。全然カカシの忙しさとか疲れとか考えてあげられなかった。だから悪いんだ。

「そんな風に言うならもっと大事にしてくれる普通の人のとこに行きなさいよ」

一言、振り向いて私の目を見て言ったカカシ。言い終わってすぐにまた本に視線を落とすカカシ。今、背中を向けているカカシはどんなことを考えているのか全くわからないけど、でも、少なくとも私にそう言ったカカシの目は寂しそうで、言ってから後悔した。いつも何かをしてしまった後にしか気づけないなんて私は馬鹿だ。

「あのさ」

いつの間に膝に顔を埋めてしまっていたのだろうか、ずっと泣いていてわからなかった。優しいカカシの声が聞こえて顔を上げれば私の前には本を手に持ってしゃがんでいるカカシがいた。


「いつまで泣いてんの、大事にしてくれる人んとこ行くんじゃなかったの」

「だ、て、私は カカシ、 が…っ」

「馬鹿だねぇ。そんな泣くくらい俺がすきならなんであんなこと言うの。素直に構ってって言えばいいだけでしょ」


「う゛、っ、か まってぇ…っ」


拙い愛ですが

「いいこ」

にこり。カカシの目が緩やかな弧を描いた。


20110223