忍の服の下から見える自分の足に吐き気がした。
見え隠れする太ももが、風が靡いたことに寄って捲れてしまう服の中に見える自分の足。その付け根を考えるとどうしても吐き気がした。

「先生」「んー?」

一昨日まで雨が降り続いていたからだろうか、ストレスを発散した様に今日の空は秋晴れだ。そろそろ男の忍が羨ましくなってくる季節。短いスカートの様な服の下に機能性を重視した短いパンツ。本来気温を気にするくらいならパンツスタイルの服にすればいいのだけどどうしてもスカートを履いていたい私としてはつらい季節の訪れがもう目の前まで来ている気がした。

第三演習場でナルトたちの演習を終えたカカシ先生が木陰に寝そべり本を読んでいた。声を掛ければ返って来た眠そうな声を聞きながら私は脳の中で言葉を選ぶ。ごろり、芝に寝そべれば草のにおいがした。風に乗って先生の香りまでもして、私の欲望はじわりじわりと下着を湿らせてしまう様で内心溜息を吐く。

「私のこと、抱いてくれたりってしませんか?」

「んー、ごめんね。生徒に手出すわけにもいかないんだよねぇ」

頭の中で言葉を選んでおきながらこれか、と自分でも思うけれどオブラートに包んでしまえばきっとその程度の感情だと思われてしまうだろう。先生の声は普段のそれと全く変わらなかった。ただ、語尾がほんのちょっと優しかった。まるで空気に消え入るようなそれだった。

「いえ、これでいいんです」
「そう?」
「はい」

「今日は、いい天気だから。名前も次の任務が入るまでのんびりするといい」
「そうですね、いい天気」

視界の端で先生が伸びたのが見えた。先生の声が、仕草が、目が、その自然体さが酷く綺麗に映る。そしてそれを私で塗りつぶしてみたくなる。けれどそれは叶っては欲しく無い、叶えたい私の欲望だ。これでいい。秋晴れの空を見て、目を閉じれば瞼の裏は異様にチカチカと白く光っていた。

このまま溶けてしまいたい。

汚らしい生き物の分際であなたに恋

汚したくて汚したくなくて浄化されたくて。


にやり
20110214