砂の忍木の葉の忍は別。そう言ってしまうと差別のように聞こえるかもしれない。
違う里ならそれぞれの内情も違っていて、一方では容易いことももう一方では困難だったりする。それで言うならきっと砂の忍は、個々の力に頼りすぎていて、全体の力をカバーしてもらっていたのだと思う。
それを私が思い知ったのはいつものように風影さまにお茶を入れて届けようとしていたときだった。廊下の窓から外を眺めると、空中で戦闘している風影さまの姿があった。
風影さまは強い。だから負けないと、勝って下さると信じていた。信じていたのに、心臓はどくどくと嫌な高鳴りをしていて、お茶を持つ手も力が入らなかった。結局のところ、忍ではあっても力が弱ければ強大な力を持つ敵に太刀打ちすることは出来ない。頑張りも関係するとはいっても限度がある。それが目の前に晒されたのは、風影さまと戦闘していたひとが里に爆発物を落としたときだった。
里を守るべき忍である私たちも一般人も関係なく、私たちは風影さまの障害となってしまったのだ。

「どうぞ」「ああ、すまん」
木の葉の援軍とチヨさまの力によって一度は失った命を取り戻した風影様は程なくして再び執務を行うようになった。そして、お茶を入れ、執務の補佐をするのが私の役目。
いつも無口な風影さま。テマリ様カンクロウ様と共に支えてくださる。
忍としても私個人としてもお慕いしているお相手。風影様。そんなあなたが二度と死なないように私が出来ることは、精進すること。それ以外に無いのだ。

「今日のは」「え」「うまいな」
「葉を、変えてみました」「そうか」「はい」


不在証明 20110206
∴二度とあなたが死なないように