裁く
「いい加減にしなよ」
「世間体を気にする方が悪いんだって」
隆平の苦言もさらりと聞き流す。
「とことん、見る目がないなあ」
興平の軽口は拳で返す。
通報した晴香、興平と隆平の従妹である。
「でもさあ、本人のためにもなるよ。自分を見つめなおすいい機会じゃん」
「少しは悪びれなさい」
告発システム、実は女性のためにあるのではないかと最近、秘かに思う隆平である。
「こーちゃん。りゅーちゃん」
晴香は隆平そっくりの穏やかな笑みを浮かべる。
「「きみだから好き」って言えたらいいのにね」
――そして、6年後。