裁く
「告発システムにより、あなたを告発します」
興平は厳かに告げる。
好きな人を愛し、愛され、堂々としていられる権利を勝ち取った先人への冒涜。
我ら、告発システム。
裏切者は、許さない。
「裏切者」は叫ぶ。
「俺は好きな人といるんだ。性別で区別するのか!」
その叫びに、興平の口端が上がる。
性別による差別を助長するのは、お前みたいな存在のせいなのだと。
――口には出さなかったけれど。
ゲイであるにも関わらず、女と睦みあった男は、過去を否定する。
かつて、自分もゲイであったというのに、その存在を否定する。
それだけではない。
「お前が、本当に好きで彼女といるのならば我らは動かない」