Rest In Peace | ナノ


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 どうせ碌でもないことなのだろうと、志岐は思う。
「『お前には何も残さない』だそうです」
 ほら。
 むしろ予想通りで、驚くこともできない。
 気の毒なのは、言付けられた樹だ。あんまりな伝言に、真面目な樹が悩んだことは想像に難くない。
 役目を果たして安堵したのか、樹の声には涙が混じっていた。
「申し訳、ありません」
「樹くんが謝ることではありません」
 苦笑しながら志岐が告げると、樹の瞳からぼろりと涙が零れ落ちた。
「父は、いつもおじさまにひどいことを」
「いいのです」
「でも」
 ばちっと音がしたと錯覚するほど、強く、樹と視線が絡んだ。
 ――ああ。

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