Rest In Peace | ナノ


4

しおり一覧

 秀が呼ぶと嬉しそうに笑う、どうしようもない、恋人。

 むっつめ。
 互いの家庭を責めないこと。

「お前をひとりにせずに済むことが、何よりも嬉しい」
 志岐の大きく見開かれた目を見て、秀はとても満足したのだ。

*****

 秀の息子である樹が志岐を訪ねてきたのは、秀が亡くなってからふた月が過ぎた頃だった。
 居間に通したが、樹は志岐の顔を見つめたまま、思い詰めたように口を閉ざす。
 志岐は急かさなかった。ただ、樹の顔を感慨深く眺める。――もう子どもとは言えない年だ。


*前次#
backMainTop
しおりを挟む
[4/8]


- ナノ -