06.5週目
それが叶わないから,すみれと一緒にいる。
暁のところへ行こうか。
今,真司を止めてくれるのは暁しかいない。
あいつに会いたい。
だけど,今,会いにいったら冗談でなく,もう,会えない。
真司だって,女性を抱くことを想像したことはある。
もっと言うなら,好きな人とそういうことをしてみたいと思っていた。
すみれは好ましい。
でも,すみれはあいつじゃない。
寝室に戻れば,すみれが睨みつけてきた。
「もう,嫌だ」
奇しくも重なる言葉に,互いが歪んだ笑みを向ける。
体を引きずるようにして寝室を出た彼女の背を見送り,真司はベッドに寝転がる。
シャワーの音が聞こえた。
俺は,あいつと家族になりたかったのに。