家族になるまで | ナノ

04.3週目

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 詰問口調で投げかければ,途端に軽蔑したような視線を寄越す。
「もう知ってるんでしょう」
「何も知らない。だから来た」
「真朝のとこだよ」
 ふいと目を逸らして暁が言う。
 脳の底を揺らすような眩暈がした。
 ふらつく真司を暁が支え,困ったような笑い声を洩らす。
 誤魔化されるものか。
「いつから?」
 声を絞り出せば,暁は平然と答える。
「きみのとこにいった週ぐらいかな。日にちは数えてないよ」
「いいのかそれで」
 ソファに真司を座らせ,暁が膝を折って視線を合わせる。
「俺も結婚しようかと思ってるんだ」
 妙に頭が冷えた。
「だから朝陽ちゃんは邪魔だと」
「うん」
「嘘吐くな」
「嘘じゃない」
「名賀と……名賀と同じことをしてるんだぞ」
「全然違う。返しただけ」
 真司は暁を睨んだ。
 暁は微笑んだ。
「緒方,祝福してくれる?」
「嫌だ」
「俺の人生なんだけどなー」
「わかってる。だけどこれは,駄目だ」
 自分でもわかっている。
 口を挟むことではない。
 だけど言わずにはいられない。
 暁が大きな溜め息を吐いた。
「あのね,緒方。朝陽は真朝の子で,父親までいるの。俺よりも血の濃い,家族だよ」
「血の繋がりなんかどうでもいいだろう」
 それは紛れもなく本心だったのに。
「きみがそれ,言うの」
 怒りのせいで凪いだ瞳が恐ろしい。
「見た目にこだわって,血にこだわったきみが,血の繋がりはどうでもいいって?」
「だってお前が」
「よくもそんなこと言えるね」
「お前がそんな顔してるから!」


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